姨捨駅

姨捨駅：絶景と夜景のスイッチバック駅

長野県千曲市にある姨捨駅は、JR東日本篠ノ井線に位置する、全国でも珍しいスイッチバック方式の駅です。標高551mの山の中腹にあり、眼下には日本三大車窓の一つと謳われる雄大な長野盆地（善光寺平）が広がります。

絶景と名月

姨捨駅周辺は、その眺望の良さから古くから知られていました。特に、駅ホームから望む長野盆地の夜景は息を呑むほどの美しさで、2012年には日本夜景遺産（自然夜景遺産）に認定されました。さらに、すぐ近くにある長楽寺持田の四十八枚田に映る月「田毎の月」は、長野県下にある国指定名勝五ヶ所のうちの一つであり、美しい景観を作り出しています。この絶景を求め、多くの観光客が姨捨駅を訪れます。

駅周辺には、姨捨山（冠着山）、姨捨棚田、姨捨サービスエリアなど、景観を楽しむスポットが点在し、観光エリアとして発展してきました。日本経済新聞社のアンケートでは、「足を延ばして訪れて見たい駅」で全国2位にランクインするなど、高い人気を誇ります。また、『日経おとなのOFF』では「日本三大名月の里」の一つにも選定されています。

駅の歴史と発展

姨捨駅は1900年（明治33年）に開業しました。当初は旅客・貨物両方を扱っていましたが、1972年（昭和47年）には無人駅となりました。その後も、地元住民の努力により、週末には駅を訪れた旅行者へお茶の振る舞いなどのおもてなしが行われるなど、温かい雰囲気の駅として親しまれてきました。

2010年には駅舎のリニューアル、2011年には駅舎外装や跨線橋のリニューアルが行われ、歴史的建造物の雰囲気を残しつつ、現代的な機能も備えた駅へと生まれ変わりました。2017年にはクルーズトレイン『TRAIN SUITE 四季島』の停車駅となり、さらに知名度が向上しました。これに合わせて、ホーム上に展望ラウンジ「更級の月」も設けられました。

スイッチバックの仕組み

姨捨駅は、スイッチバック方式を採用しています。これは、急勾配を上り下りする際に、一旦進行方向を変えてホームに停車する方式です。そのため、上り列車は後進してホームに入り、下り列車は後進して本線に戻るという、独特の運行形態が見られます。この仕組みは、かつて蒸気機関車の給水のために設けられた名残でもあります。

駅舎と周辺環境

駅舎は1934年（昭和9年）に建てられた木造建築で、大正デモクラシー時代の設計を反映した趣のある建物です。無人駅ですが、乗車駅証明書発行機が設置されており、地元有志による「くつろぎの駅」も開設されています。

駅周辺には、冠着山、姨捨棚田、長野自動車道姨捨SA、さらしなの里歴史資料館など、歴史的、文化的にも魅力的なスポットが多くあります。四季折々の美しい景色や、夜景、初日の出など、見どころ満載です。

姨捨駅へのアクセス

姨捨駅は、JR篠ノ井線を利用してアクセスできます。一部の快速列車や普通列車が停車します。また、しなの鉄道線からの直通運転で、観光列車「ろくもん」を使ったツアーも運行されています。

まとめ

姨捨駅は、絶景と歴史、そして温かい人情が感じられる魅力的な駅です。長野盆地の雄大な景色、美しい夜景、そして独特のスイッチバック方式など、訪れる人々に忘れられない思い出を届けてくれます。

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