姫野々城

姫野々城：歴史と構造、そして終焉

高知県高岡郡津野町姫野々にある姫野々城は、津野氏の居城として知られる山城です。「半月城」という別名も持ち、標高189メートルの小山丘上に位置しています。新荘川の中流左岸、津野町立葉山小学校の裏手にその遺構は存在しています。

城の構造と歴史

姫野々城は、主郭部を詰ノ段と二ノ段で構成する複雑な構造を持っていました。物見櫓や兵舎、倉庫などが配置され、防御体制も万全でした。主郭部の東西には東本城と西丸と呼ばれる出城があり、城全体を堅固に守るための工夫が凝らされています。城の周囲には、多数の竪堀や堀切が造られ、敵の侵入を防ぐための障壁として機能していました。

発掘調査の結果、主郭部、特に東本城は少なくとも南北朝時代から存在し、室町時代から戦国時代にかけて、竪堀や堀切などの防御施設が段階的に整備されていったことが判明しています。このことから、姫野々城が長期にわたって重要な拠点として機能していたことがわかります。

津野氏のルーツは、藤原仲平の子孫である山内経高に遡ります。延喜13年（913年）、経高は越前国今立郡山ノ内から土佐国へ入国し、当初は「山内」を名乗っていました。檮原町と津野山を本拠地とし、新荘川のほとりに津野荘を経営、これが姫野々城の起源となります。

しかし、永正14年（1517年）に津野元実は一条氏の戸波城を攻めた際に恵良沼で戦死し、津野氏の勢力は衰退の一途を辿ります。その後、一条氏の配下となりますが、長宗我部氏の圧力に苦しむことになります。

この状況を打破しようと、津野勝興は長宗我部元親の三男・津野親忠を養子に迎え、元親に降伏するという決断を下しました。しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで西軍が敗れると、親忠は切腹を命じられ、津野氏は滅亡、姫野々城も放棄されました。

発掘調査と遺物

平成6年（1994年）5月から7月にかけて、葉山村（現津野町）において公園整備に伴う発掘調査が行われました。その結果、本曲輪部分から、輸入陶磁器など多くの遺物が発掘されました。これらの遺物は、姫野々城の歴史や当時の生活を知る上で貴重な資料となっています。

姫野々城の現在

現在、姫野々城跡は津野町指定史跡として保護されています。発掘調査で得られた知見や出土遺物は、歴史研究や教育に役立てられており、その歴史的価値は高く評価されています。かつて津野氏の繁栄を支えたこの城は、静かに時の流れを見守り続けています。かつての威容は失われましたが、その歴史は、今もなお人々の心に語り継がれ、地域の歴史文化を語る上で重要な存在となっています。

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