威光そして栄誉

ナザレス：『威光そして栄誉』（Loud 'N' Proud）

スコットランドを代表するロックバンド、ナザレスが1973年に世に送り出した『威光そして栄誉』（Loud 'N' Proud）は、彼らにとって通算4作目のスタジオ録音盤にあたります。このアルバムは、バンドの力強くストレートな音楽性を体現しており、その後の成功への足がかりとなる重要な作品の一つと位置付けられています。

アルバムはアナログレコードの両面に分かれて全8曲が収められています。A面には、冒頭を飾る「ゴー・ダウン・ファイティング」（Go Down Fighting、演奏時間3分07秒）に始まり、「ノット・フェイキング・イット」（Not Faking It、4分01秒）、「ターン・オン・ユア・レシーヴァー」（Turn On Your Receiver、3分19秒）と続きます。ハードなナンバーが並ぶ中に、ローウェル・ジョージが手掛けた「ティーンエイジ・ナーヴァス・ブレイクダウン」（Teenage Nervous Breakdown、3分43秒）といったカバー曲がアクセントを加え、さらに「フリー・ホイーラー」（Free Wheeler、5分31秒）でA面が締めくくられます。

続くB面は、ジョニ・ミッチェルの楽曲をナザレス流に解釈した「ディス・フライト・トゥナイト」（This Flight Tonight、3分24秒）から幕を開けます。叙情的な雰囲気を持つ「チャイルド・イン・ザ・サン」（Child in the Sun、4分51秒）を経て、アルバムのクライマックスとも言える長尺のナンバーが登場します。それはボブ・ディランのペンによる「ホリス・ブラウンのバラッド」（The Ballad of Hollis Brown）で、その演奏時間は9分11秒に及び、ナザレスのダイナミックかつ表現力豊かな演奏を存分に堪能できる楽曲となっています。

これらの収録曲のうち、「ティーンエイジ・ナーヴァス・ブレイクダウン」はローウェル・ジョージの、「ディス・フライト・トゥナイト」はジョニ・ミッチェルの、「ホリス・ブラウンのバラッド」はボブ・ディランのオリジナル楽曲をカバーしたものです。それ以外の楽曲については、ナザレスのメンバーであるダン・マッカファーティー、ピート・アグニュー、マニー・チャールトン、そしてダレル・スウィートの4人全員が楽曲創造に携わっています。

このアルバムのサウンドを形作ったのは、紛れもなくバンドのメンバーたちです。ヴォーカルはダン・マッカファーティーが担当し、その力強く個性的な歌声で楽曲に命を吹き込んでいます。リズムセクションは、ドラムとパーカッション、そしてバッキングヴォーカルを担当するダレル・スウィートと、ベースギター、時にはファズベースも操り、バッキングヴォーカルも兼任するピート・アグニューが担いました。そして、ギターのサウンドはマニー・チャールトン（本名マニュエル・チャールトン）によるもので、リードギター、スライドギター、アコースティックギターと多彩なプレイで楽曲を彩り、彼もまたバッキングヴォーカルで貢献しています。

アルバムの制作においては、ロジャー・グローヴァーがプロデューサーとして手腕を発揮しました。彼はプロデュースに加え、楽曲「フリー・ホイーラー」ではベースギターとパーカッションの演奏でも参加しています。レコーディング・エンジニアとしては、ジェフ・エメリック、ボブ・ハーパー、ジョン・ミルズといった面々が名を連ねています。また、後年のリマスタリング作業はマイク・ブラウンとロバート・M・コリッチによって行われ、この名盤が現代のリスナーにもクリアなサウンドで届けられています。

『威光そして栄誉』は、ナザレスのキャリアにおいて、彼らのタフなロックンロール・サウンドを確立し、世界的な成功へと繋がる重要なターニングポイントとなった作品の一つと言えるでしょう。アルバムに関する情報源や、収録曲の歌詞については、関連する外部ウェブサイトで参照することが可能です。

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