威風堂々 (行進曲)

威風堂々（Pomp and Circumstance）

『威風堂々』（いふうどうどう、英語: Pomp and Circumstance）は、イギリスの作曲家エドワード・エルガーによって作り上げられた行進曲の集まりです。本作品集は、オーケストラによる6つの行進曲からなり、その内訳はエルガーが生前に作曲した5曲に、21世紀初頭に補筆された未完成の第6番を加えたものです。

概要

エルガーは、1901年から1907年の間に第1番から第4番を作曲し、最後の作品である第5番は1930年に完成しました。未完の第6番はエルガーの遺稿として残り、後にアンソニー・ペインによって補筆されました。原題である「Pomp and Circumstance」は、シェイクスピアの戯曲『オセロ』のセリフから引用されており、名誉や華やかさを象徴する言葉です。

この作品は日本では特に第1番の中間部のメロディが親しまれており、多くの場合、『威風堂々』という名称がこの部分に特に結び付いている場合が多いですが、実際には全作品に対するタイトルです。イギリスにおいては、特に第1番中間部が「希望と栄光の国」（Land of Hope and Glory）として知られ、愛国歌として演奏されることもあります。

各曲の紹介

第1番

1901年に作曲された第1番は、ニ長調で「Allegro, con molto fuoco」というスコアで始まります。この曲は特に有名で、リヴァプールでの初演後、瞬く間に聴衆の心を掴みました。

エルガーは、エドワード7世から歌詞を付ける要望を受け、次年度には『戴冠式頌歌』を作曲。この中には第1番の中間部のメロディが使われています。

第2番

第2番は1901年に同様の時期に作曲され、イ短調で「Allegro molto」という名称で知られています。友人のグランヴィル・バントックに献呈されており、初演は第1番と同様のコンサートで行われました。

第3番

1905年に作曲されたこの曲は、ハ短調で構成され、エルガー自身の指揮によって初演されました。友人のアイヴァー・アトキンズに献呈されており、作品全体の中でも特異な表現を持っています。

第4番

ト長調で書かれた第4番は1907年に完成し、初演もエルガー自身の指揮によるものです。この曲も、彼の友人に捧げられました。

第5番

1930年に完成された第5番は、ハ長調で非常に活発なリズムを持ち、同年のエルガー自身の指揮によってロンドンで初演されました。

第6番（補筆版）

第6番はエルガーの死後にスケッチが見つかり、2006年に補筆されました。クリエイティブな試みと解釈が加わり、新たな命を与えられています。

メロディの影響

特に第1番中間部はイギリスだけでなく、アメリカや日本でも多くの場面で用いられています。アメリカでは学校の卒業式で「卒業生入場」の際に流されることが多く、また日本では様々な作品やアニメでも引用されています。

結論

『威風堂々』はエルガーの音楽の魅力を体現した作品であり、世代を超えて愛され続ける名曲です。祭典や特別な行事において、浮き彫りになるその感動は、音楽が持つ力を示しています。

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