婁定遠

婁 定遠の生涯と役割

婁定遠（ろう ていえん、生年不詳 - 574年）は、北斉の時代に活躍した外戚であり、代郡平城県に本拠を置いていました。彼は婁昭の次男として生を受け、若くしてその才能を発揮して多くの公職を経験しました。特に武成帝から高く評価され、臨淮郡王に封じられました。

政治キャリアの始まり

天統3年（567年）、婁定遠は尚書左僕射に任命され、政治の中心に躍り出ます。続く天統5年（569年）には司空に昇進し、趙彦深や和士開、元文遙などとともに朝政を取り仕切る立場となりました。彼はこの時期、八貴の一人としてその名を広めていきます。
しかし、政治の世界は厳しく、政敵との争いが彼の運命を大きく左右することになります。

権力争いと左遷

婁定遠は趙郡王高叡と共に、和士開を追い落とそうと画策していましたが、同時に和士開から賄賂を受け取ってしまいます。この行為は彼にとって大きな失敗であり、結果として彼は瀛州刺史に左遷されることになります。
その際、婁定遠は弟の婁季略に対しても影響力を持っており、穆提婆からの身請けの申し出を拒絶したことが、后に彼に恨みを買う要因となりました。

反乱と悲劇的な結末

武平5年（574年）、高思好の反乱が発生した際、穆提婆はこの機会を利用し、婁定遠が反乱者と手を組んでいると臨淮国郎中に告発します。この告発により、後主は開府の段暢に3000騎を与え、瀛州を包囲させました。また、御史の趙秀通が州治に派遣され、婁定遠の不正蓄財の捜査が行われました。この追及は最終的に婁定遠にとって致命的なものであり、彼は自ら命を絶って果てることとなります。
彼の悲劇的な死は、当時の政治の厳しさと権力闘争の苛烈さを物語っています。

伝記資料と参考文献

婁定遠に関する詳細な記録は、主に『北斉書』の巻15や『北史』の巻54に残されており、彼の複雑なキャリアや人物像を知るための貴重な資料となっています。また、氣賀澤保規による現代語訳もあり、これらの資料は彼の歴史的な位置付けを理解する上で重要です。

全体として、婁定遠の人生は政治の激流と権力の奪取がもたらす悲劇の象徴でもあり、北斉時代の権力構造を理解する上で非常に興味深い事例と言えるでしょう。

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