婁昭

婁昭の生涯と業績

婁昭（ろう しょう）は、生没年は不明ですが、中国の北魏末から東魏時代にかけて活躍した著名な軍人および政治家です。彼の字は菩薩で、代郡平城県に本貫を持ちます。

出自と初期の経歴

婁昭は鮮卑族の婁内干の子として生まれ、強力な一族の出身でした。特に彼は高歓の妻である婁昭君（武明婁皇后）の同母弟にあたります。若い頃から高歓と深い関係を築き、信任を受ける存在となりました。

軍事的功績

普泰元年（531年）の6月、高歓が信都で起兵する際、婁昭は中軍大都督としてこれに従いました。10月には、爾朱兆を広阿で撃破し、その功績により安喜県伯に封じられることになります。翌年の太昌元年（532年）9月には驃騎大将軍と儀同三司の地位を与えられ、さらに済北公に昇進し、濮陽郡公に転封となりました。また、領軍将軍としての役割も担いました。

北魏の孝武帝が高歓に対して不信を抱いていることを察した婁昭は、体調不良を理由に晋陽に帰還しました。その後、高歓の指導の下で洛陽に進出し、兗州刺史の樊子鵠が反乱を起こした際には、東道大都督として鎮圧に奔走しました。樊子鵠が討たれた後、周囲の将軍たちは、残党に対する処罰を進言しましたが、婁昭は「賊に怨みはあれど、その人には罪がない」と言い、処罰をしなかったとのことです。この行動は彼の倫理観を反映しており、彼が戦士としてのみならず、政治家としても高い道徳性を持っていたことを示しています。

最後の年

興和4年（542年）4月には大司馬に昇進し、武定2年（544年）11月には司徒に転任し、定州刺史としての職務に就きました。晩年の婁昭は酒を好み、痛風に苦しむ中、激務には耐えられず、州の事務は部下に一任して、全体の方針のみを定める形となりました。最終的に彼は定州でその生涯を閉じました。

死後の評価

彼の死後、仮黄鉞、太師、太尉の地位が追贈され、武という諡号が贈られました。また、北斉が創始された後には太原王に追封されています。

家族

婁昭には三人の子どもがあり、婁仲達、婁定遠、婁季略の名が残っています。特に長子の仲達は彼の後を継ぎ、濮陽王となりました。彼の子孫はその後も影響力を持ち続けたと考えられています。

伝記

彼の人生に関する詳細な記録は『北斉書』と『北史』に残されています。これらの古典的な書物は、彼に関する貴重な歴史的資料として、多くの研究者に引用されています。

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