婦人 (クルアーン)

スーラ第4章『婦人』(An-Nisa)について

『婦人』(アラビア語: سورة النساء, Sūratu an-Nisā)は、クルアーンにおける第4番目の章（スーラ）であり、176の節（アーヤ）から構成されています。章の名称は、女性に関する言及が頻繁になされていることに由来します。

啓示の時期

『婦人』は、マディーナで啓示されたとされています。内容から、ヒジュラ以降に啓示されたことは確実視されています。ネルデケによるスーラの分類では、イスラームの伝統に基づけば『婦人』はほぼ百番目に啓示された章とされています。本章は、孤児を考慮した立法がなされていることから、多くのムスリムが殺害されたウフドの戦いの後に啓示された可能性が高いと考えられています。啓示はヒジュラ暦3年頃に始まり、8年までに完了しなかったとされ、クルアーン中で2番目に長い期間をかけて啓示された章です。

内容と背景

本章は、新しく作られたムスリム共同体を保護することを目的とし、許容される行動を概説しています。クルアーンの権威ある法源としての地位を示すとともに、共同体を形成する能力を例証しています。また、イスラーム以前の慣習を根絶することを意図しており、それらの慣習はムスリム共同体ではもはや道徳的とはみなされなくなりました。例えば、孤児の少女を公正に扱うことに関する部分では、財産を得るために孤児の少女と結婚するという慣習が扱われています。

主題としては、女性に対する関心だけでなく、相続、婚姻法、子供や孤児の扱い方、法的実践、ジハード、ムスリム共同体と啓典の民との関係、戦争、キリスト教徒が主張するような子なる神というよりむしろ預言者としてのイエスの地位などが議論されています。戦争においては、弱者のために戦うようにムスリム共同体を鼓舞しています。

初期のムスリム共同体が直面した多くの問題が語られ、共同体が直面した脅威に対する応答が与えられています。章の長さと問題の多様性から、文学的構造に分割することは困難ですが、テーマに基づいて三つの部分に分割する試みもなされています。

章句の例

クルアーン 4:3: 一夫多妻制について言及し、孤児を養子にすることを勧めています。
クルアーン 4:4: 妻への贈与財について述べています。
クルアーン 4:11: 子供の相続に関する規定を説明しています。
クルアーン 4:17: アッラーの赦しについて述べています。
クルアーン 4:23: 結婚が禁じられている女性について詳述しています。
クルアーン 4:24: シーア派の解釈では、「ムタア（歓び）の節」と呼ばれています。
クルアーン 4:34: 男性の女性に対する役割について述べています。
クルアーン 4:116: 偶像崇拝の禁止を説いています。

参考文献

『コーラン(上)』井筒俊彦訳、岩波文庫

関連項目

イスラームと女性
イスラーム婚姻法
離婚 (クルアーン)

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