婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約

婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約について

婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約は、1921年に国際連盟によって採択され、1922年に効力を持つようになった条約です。この国際的な法律は、売春とそれに関連する人身売買を禁止することを目的としており、その影響は現在においても続いています。

背景と歴史

19世紀末、ジョセフィン・エリザベス・バトラーなどの活動家たちが売春婦救済運動を推進しました。この運動は、イギリスやアメリカで公娼制度が廃止されるきっかけとなりましたが、植民地には依然として売春が存在しました。そのため、国際的な問題としての解決が求められるようになりました。

1904年には初の国際協定が締結され、1910年にはさらに強化された条約が誕生しました。これらは婦女売買に対抗するための国際共通の取り組みであり、1921年の婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約はこれを引き継ぐ形で制定されました。

言及された加盟国

この条約には当初28カ国が署名しました。加盟国の中には、オーストラリア、カナダ、日本、イタリアなどが含まれていましたが、当時の列強であるアメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦は参加しませんでした。

条約の内容

条約の重要なポイントは、年齢に関する規定や職業紹介所の監視に関するものです。具体的には、第5条では、婦人及児童の売買を禁止するための年齢の見直しが行われ、満21歳以上である必要があると定められました。第6条では、国内と他国との間で職業を求める婦人や児童の保護を保障するための規則の設置が義務付けられています。さらに第7条では、移民に関しての売買防止措置が盛り込まれています。

各国の対応

イギリスは条約に調印したものの、植民地での適用を留保しました。このように、各国は条約に対して異なる姿勢をとりました。日本も同様に、満18歳以上を対象とする現行法と矛盾するため、年齢に関する条項には留保を設けました。これにより、国際社会からの批判が高まり、結果として日本も昭和2年に年齢についての留保を撤廃したのです。

この条約は、国際連合によるその後の人身売買禁止に関する取り組みの先駆けとなり、国際的な人権保護の枠組みとして今日も重要視されています。とはいえ、抜け道が存在したことで施行の効果には限界があり、現場の状況を反映した法律改正の必要性が求められていました。

結論

婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約は、国際法の中で重要な位置を占め、人身売買および売春問題への取り組みの礎となるものです。法的整備だけでなく、現実的な施策や国際的な協力が求められる中、今なお課題が延び足り続けています。

もう一度検索