嫦娥3号

嫦娥3号について

嫦娥3号（じょうが3ごう）は、中国が実施した月探査計画、嫦娥計画に基づく月探査機であります。この探査機は、ランダーと月面ローバーから構成されており、2013年12月に打ち上げられました。その後、同月14日には月面への着陸に成功し、中国において初の月面軟着陸を果たすこととなりました。この偉業は、1976年のソ連のルナ24号以来37年ぶりの月面着陸だったため、大きな注目を集めました。中国は、これにより旧ソ連やアメリカに続く、月面軟着陸を達成した3カ国目となりました。

ランダー

嫦娥3号のランダーは、月の赤道近くに位置する虹の入江に着陸するように設計されており、重量は約1,200kgです。着陸後は約3ヶ月間にわたり、様々な科学観測を行う計画が立てられていました。特に、月面での14日間続く夜間の活動を可能にするため、プルトニウム238の崩壊熱を利用した放射性同位体熱電気転換器（RTG）が電力源として搭載されています。これは、米国とロシア以外で宇宙機にRTGを使用する初のケースです。

ランダーには、7種類の科学機器が搭載されており、その中には月面紫外線望遠鏡であるLUT（Lunar Ultraviolet Telescope）が含まれています。LUTによって実施された月面からの天体観測は、新たな科学的発見につながり、撮影されたM101渦巻銀河の写真は2015年1月に公開されました。ランダーは、2014年12月には着陸1周年を迎えましたが、その後も運用は続けられており、夜間にはスリープモードに移行し、日中の光が届くと活動を再開する方式が取られています。

月面ローバー

月面ローバー、「玉兎号」（ぎょくとごう）は、約120kgの重量で、6つの車輪を持ち、総行動範囲は約3平方キロメートルに及びます。ローバーの底部にはレーダー装置が設置されており、月の内部構造の観測を行いながら移動することが可能です。また、月面の土壌分析なども実施し、活動期間は約90日を予定しています。ローバーは太陽電池を電力源とし、夜間は活動を休止する仕組みです。ローバーのサイズは、収納時で長さ約1.5m、幅約1mです。

嫦娥3号の開発および製造は、2010年4月には完了し、2013年5月には熱真空試験も行われました。ローバーは着陸から約24時間後の12月15日に月面に降ろされ、その活動が開始されました。しかし、2014年1月下旬には制御に異常が見られ、2月には地球からの信号を受信できる状態にはなりましたが、完全な復帰には至りませんでした。月の夜の期間には活動が中断され、翌3月には再び活動を再開しましたが、依然として制御回路に問題を抱えており、設計寿命の3ヵ月を超えての運用は不透明さを増していました。

2014年6月には、玉兎号が月の昼間には活動を続けていましたが、その後の報告では車輪が動かないなどの不具合が生じた状態が続いているとのことでした。2014年7月、玉兎号はスリープから復帰しましたが、故障は未解決のままでした。設計寿命を超えての運用でしたが、科学者たちはさらに多くのデータ収集に期待を寄せていました。最終的には、玉兎号は自走は不可能な状態になりましたが、2015年10月には月面で最も長く稼働したローバーとなったことが報告され、2016年8月には正式に稼働停止が発表されました。

経過概要

嫦娥3号の成功は、中国の宇宙探査における重要な一歩であり、今後の探査ミッションにとって貴重なデータと経験を提供しました。

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