子宮頸癌

子宮頸癌について

概要

子宮頸癌は、子宮頸部という子宮の出口に位置する領域で発生する悪性の上皮性腫瘍です。この癌は、特にヒトパピローマウイルス（HPV）の感染が主要な原因とされています。2007年の世界保健機関（WHO）の発表によれば、全世界で年間50万人が発症し、約27万人が亡くなっています。特に発展途上国では発生頻度が高く、日本でも年間約1万人の患者が診断され、約2800人が亡くなっています。

発生の背景

子宮頸癌のリスクは、初めての性交から数年後の若年層に特に高く、20代から40代の女性に多く見られます。約87.4%の子宮頸癌患者にはHPVが確認されており、HPVの持続感染が癌発症のリスクを高めます。HPVに感染している場合、性交渉を続けることでパートナーにも感染が広がる可能性があります。

年齢別罹患率

子宮頸癌は一般的に20代後半から40代にかけて罹患率が増加し、その後は横ばいに推移します。しかし、近年は39歳以下の罹患者数が増加しています。また、死亡者の多くは高齢者であり、特に80歳前後の層でピークを迎えます。

治療と診断

子宮頸癌は、早期発見が可能な癌であり、適切な医療措置を受ければ高い生存率が見込まれます。進行する速度が他の癌よりも遅く、早期癌では95%の生存率が示されています。

診断方法には、細胞診とHPV検査があります。細胞診は子宮頸部から採取した細胞を顕微鏡で観察し、異常細胞の有無を判断します。HPV検査は高リスク型HPVの感染を確認するもので、これにより癌や前癌病変の発見率は非常に高く、両者を併用することで発見率はほぼ100%とされています。

治療方法

治療方法は病期に応じて異なり、早期癌の場合は円錐切除術などの手術が行われます。進行癌の場合は、子宮全摘術や放射線治療、化学療法が選択されます。2024年を目指して、iPS細胞を用いた新たな治療法も研究されています。

予防

HPVワクチンの接種は、子宮頸癌や関連癌を防ぐ効果があります。ワクチンは特に12歳頃からの接種が推奨され、その後も定期的な検診を受けることが重要です。定期的なパップテストやHPV検査も、癌の予防に非常に有効です。

まとめ

子宮頸癌は、HPV感染によって引き起こされる予防可能な癌です。定期検診とワクチン接種を通じて、リスクを大幅に低下させることができます。また、早期発見と適切な治療により、良好な治療成績が期待できます。

もう一度検索