孝荘帝

孝荘帝 元子攸：傀儡からの脱却と悲劇的な最期

孝荘帝（こうそうてい、元子攸、507年 - 531年）は、北魏の第9代皇帝（在位：528年 - 530年）。孝文帝の甥にあたる。その生涯は、権力闘争と悲劇に彩られていた。

美少年から皇帝へ

彭城王元勰の三男として生まれた元子攸は、幼い頃から宮中で育てられ、孝明帝に近侍した。抜きん出た美少年として評判だったという。528年、孝明帝が胡太后によって殺害されると、爾朱栄が挙兵。元子攸は爾朱栄に擁立され、皇帝の座についた。

爾朱栄の傀儡

即位後、孝荘帝は爾朱栄の娘を皇后に迎え、爾朱栄が朝政の実権を握った。孝荘帝は傀儡に等しい状態に置かれ、不満を募らせていた。529年には、元顥が南朝梁の支援を受けて洛陽に迫り、孝荘帝は一時都を放棄せざるを得なくなるなど、苦難が続いた。

爾朱栄暗殺

孝荘帝は、現状打破のために危険な賭けに出る。530年、妊娠した皇后の報告を機に、爾朱栄父子を宮中に誘い込み、謀殺したのだ。これは、傀儡からの脱却を目指す孝荘帝の決意の表れであった。

悲劇的な最期

しかし、爾朱栄の一族である爾朱兆らが反旗を翻し、孝荘帝は捕らえられた。洛陽を追われ、晋陽へ移送された後、531年に殺害された。その死に際して詠んだ詩は、彼の無念さを物語っている。

権力が奪われ、生への道は狭まり、
憂いが来て、死への道は長くなる。
恨みを抱いて国門を出て、
悲しみを込めて鬼郷に入る。
隧門は一時閉ざされ、
幽庭に再び光が射すことはないだろうか。
思鳥は青松にむせび、
哀しい風は白楊を吹く。
昔から死の苦しみを聞いていたが、
まさか我が身に降りかかるとは。

孝荘帝の生涯は、美貌と才能に恵まれながらも、権力闘争に翻弄され、短くも悲劇的な最期を迎えた皇帝の物語として、後世に語り継がれている。

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