孟宏偉

孟宏偉（もう こうい）

孟宏偉（モン・ホンウェイ）は、1953年生まれの中国の官僚、政治家です。2016年11月から国際刑事警察機構（ICPO、インターポール）の総裁を務めましたが、2018年10月に辞任しました。

経歴

黒竜江省ハルビン市出身で、北京大学法学部を卒業後、1975年に中国共産党に入党。公安部に入り、交通管理局局長、2004年には公安部副部長に昇進しました。同年8月にはICPO中国国家中心局（NCB）局長も兼務しています。2012年には国家海洋局副局長、中国海警局局長を兼務しました。

2016年11月、ICPO総会で総裁に選出されました。しかし、彼の就任に対しては、人権団体などからICPOの政治利用を懸念する声が上がりました。彼はチベット自治区での人権弾圧や人権派弁護士の大量逮捕に関わったと批判されており、富豪・郭文貴の国際手配の際には中国による政治利用が指摘されました。

2017年9月には、北京で開かれたICPO総会で習近平国家主席とともに基調演説を行っています。

失踪とその後

2017年12月に国家海洋局副局長と中国海警局局長を解任され、2018年4月には中国共産党公安委員会委員も解任されました。

2018年9月、フランスから中国へ一時帰国中に消息不明となりました。SNSや電話で脅迫を受けていたことを知らされていた妻がフランス当局に通報。失踪直前には家族に危険が迫っていることを知らせる絵文字を送っていました。妻はフランス警察の保護下で会見に応じました。

ICPOは当初、この問題を両国間の問題として不干渉を表明しましたが、中国政府に説明を要求。その後、孟が党中央規律検査委員会・国家監察委員会による取り調べを受けていることが明らかになり、ICPO総裁を辞任しました。中国公安部は「反腐敗運動」の一環と発表しましたが、中国当局の対応は国際基準から逸脱していると批判されました。

2019年3月、中央規律検査委員会は孟を収賄や職権乱用で公職追放、党籍剥奪の上、刑事訴追することを発表しました。同年6月、天津市での公判で約1446万元の賄賂を受け取ったことが指摘され、孟は事実を認めました。

2020年1月、天津中級人民法院は収賄罪で懲役13年6月、罰金200万元の判決を言い渡しました。

孟の妻はフランス政府に亡命を認められ、オランダのハーグの常設仲裁裁判所でICPOを提訴しました。

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