季里

季里氏は、1961年に生まれ、CGアーティスト、アニメーター、キャラクターデザイナーとして活動しています。自身の肩書きを「ビジュアルプロデューサー」と称し、幅広いクリエイティブワークを手掛けてきました。

経歴と初期活動

大阪府立大手前高等学校を卒業後、1984年に大阪教育大学美術学科で学び終えました。大学4年次には、日本のCG黎明期を主導した大村皓一氏が率いる大阪大学工学部電子工学科のCGグループに研究生として加わり、本格的にCG作品の制作に取り組み始めました。この時期に制作した作品で、NICOGRAPH'83において優秀賞という栄誉を得たことを機に、後に長年にわたり協働することになる松浦雅也氏との共同制作がスタートしました。

子供向け番組と技術開発

CGアーティストとしてのキャリアを積む中で、「ひらけ!ポンキッキ」「ひとりでできるもん!」「音楽ファンタジー・ゆめ」「みんなのうた」といった国民的な子供向け番組に、数多くのキャラクターやアニメーションを提供し、その独特な世界観で多くの視聴者に親しまれました。また、初期段階におけるバーチャルセットや3DスキャナーといったCG技術の開発にも積極的に関与するなど、技術的な側面からも日本のCG分野の発展に貢献しています。

株式会社七音社設立とゲーム開発

1993年には、松浦雅也氏と共に株式会社七音社を設立し、取締役およびビジュアルプロデューサーとして活動の幅を広げました。七音社では主にインタラクティブコンテンツ、中でもゲーム開発において重要な役割を果たしました。代表的な作品としては、「パラッパラッパー」シリーズのグラフィックス全般、「ビブリボン」シリーズのキャラクターおよびグラフィックス、「たまごっちのプチプチおみせっち」の構成やダイアログなどが挙げられます。これらの作品は、音楽とビジュアルが融合した独自のスタイルで国内外から高い評価を得ました。

その他の活動

ゲーム制作以外にも、デジタル絵本アプリの開発や、子供向けのワークショップを開催するなど、教育や普及といった側面からもデジタルアートやクリエイティブの可能性を追求しています。また、様々なメディアでクリエイティブワークを展開しています。

主なデザイン活動

デジタルコンテンツ
Kaleid[K] KIRI MATSUURA WORKS 1983-1994 /kiss kiss 7 (同名展覧会CD-ROMカタログ)
パラダイス＊レスキュー（CDーROMゲーム、トンキンハウス）
ビブリボン（ソニー・コンピュータエンタテインメント）
ライムライダーケロリカン（バンダイ）
モジブリボン（ソニー・コンピュータエンタテインメント）
ビブリップル（ソニー・コンピュータエンタテインメント）
ノビパン（バイアコム）
テレビ番組
TVの国のアリス（NHK総合）
おかあさんといっしょ（NHK教育）
ひらけ!ポンキッキ（フジテレビ）
音楽ファンタジー・ゆめ（NHK教育）
おもしろ学問人生（NHK総合）
ナイトジャーナル（NHK総合）
天才てれびくん（NHK総合）
ひとりでできるもん!（NHK総合）
みんなのうた（NHK）
フランス語会話（NHK教育）
井の中のカワズ君（フジテレビ）
くるくるドカン～新しい波を探して～（フジテレビ）
Sense of Japan（NHK WORLD）
NIHONGO QUICK LESSON（NHK WORLD）
書籍
ありがとサンキュー（ソニーマガジンズ）2004年
ビブリホン　ビブリと楽しいビブリ語辞典（ソニーマガジンズ）2000年12月
* 趣味悠々　パソコンだからここまでできる！手作りカード・年賀状（NHK出版）2007年10月

教育活動

クリエイターとしてだけでなく、教育者としての顔も持つ季里氏は、後進の育成にも情熱を注いでいます。現在は女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科の教授として教鞭をとっています。これまでに、京都精華大学美術学部デザイン学科、大阪教育大学美術学科および大学院、筑波大学情報学群、多摩美術大学美術学部など、複数の教育機関で非常勤講師や客員教授を歴任しており、教育分野における貢献も多大です。

季里氏は、日本のデジタルアート、ゲーム、そして教育分野において、黎明期から現在に至るまで多大な貢献をしてきた、稀有なクリエイターであり教育者です。

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