学校法人千里国際学園

千里国際学園

千里国際学園（せんりこくさいがくえん）は、かつて大阪府箕面市に存在した学校法人です。1991年（平成3年）に阪急電鉄によって設立され、中学校に相当する中等部、高等学校に相当する高等部、そして大阪インターナショナルスクールを設置・運営していました。

設立当初は大阪国際文化高等学校、大阪国際文化中学校（OIA）という名称でしたが、後に千里国際学園中等部・高等部（略称SIS）と大阪インターナショナルスクール（略称OIS）となり、両校は同じ校舎内で一体的な運営が行われていました。地域社会に根差しながらも、国際的な視点を取り入れた教育を展開した学園でしたが、2010年（平成22年）4月1日に関西学院と合併し、学校法人としての千里国際学園はその役割を終えました。以下の記述は、主に合併直前の学園の姿を基にしています。

教育組織と対象

千里国際学園には、以下の教育組織がありました。

千里国際学園中等部・高等部（SIS）
主に日本語で授業が行われ、卒業生の多くは日本の大学に進学しました。
中学1年生から高校3年生（学内では7年生から12年生と呼称）が対象で、一般生徒に加え、帰国生徒や外国人生徒も積極的に受け入れていました。
寮も完備されていました。
大阪インターナショナルスクール（OIS）
主に英語で授業が進行し、卒業後の進路は主に海外の大学でした。
幼稚園から12年生、さらにポストグラデュエートまでを対象とし、主に外国人生徒を受け入れていました。

両校は連携し、多様な背景を持つ生徒たちが共に学ぶ環境を提供していました。

教育の特色

学園はユニークな教育システムを採用していました。学期完結制を導入し、音楽や美術といった一部の教科、生徒会活動などはSISとOIS合同で実施されており、英語のみで進められる授業もありました。授業では、一方的な講義形式ではなく、発表や討論、実験・観察、レポート作成が重視され、1クラス最大でも24人程度の少人数教育が行われていました。

また、厳格な校則ではなく、「5リスペクト」という方針が生徒の行動規範とされました。これは「自分」「他人」「学習」「環境」「リーダーシップ」の五つを尊重するという考え方であり、服装や髪型なども生徒自身の判断に委ねられていました。

IT教育にも力を入れており、多くのコンピュータ授業が用意され、一部は必修でした。生徒全員が一人一台のコンピュータを使用できる環境が整えられ、個人専用のログインアカウントで学校サーバーにファイルを保存し、学内どこからでもアクセスできるシステムが構築されていました。

充実した施設と設備

学園の設備は非常に充実していました。室内温水プール、ジム、プラネタリウムといったユニークな施設のほか、ノートパソコンの貸出、整備されたインターネット環境、写真用暗室、陶芸用焼き窯などがありました。理科教育のためには、開校時に島津製作所から多くの研究・実験機材が導入されています。

図書館も特筆すべき点です。玄関を入ってすぐの好立地にあり、約5万冊の蔵書は日本語と英語の両方が豊富に揃っていました。館内でのノートパソコン貸出サービスもあり、生徒が自由に学習にコンピュータを利用できる環境でした。教員やスタッフが常駐し、開館時間も長く、大学図書館に匹敵する蔵書量とサービスを誇っていました。

多彩な年間行事

学園では、年間を通じて様々な行事が行われました。入学式（Entrance Ceremony）、学園祭（School Festival）、運動会（Sports Day）、模擬国連（Model United Nations）、卒業式（Graduation）といった一般的な行事に加え、特に特色のあるものとして以下が挙げられます。

All School Production (ASP)
毎年開催されるミュージカルまたはオペラの発表会。演出、演奏、照明、音響など、そのほとんどが生徒主導で行われました。基本的に英語での上演でしたが、一度だけ日本語で上演された例もありました。
SIS Summer Camp
中等部・高等部を対象とした複数のテーマ別キャンプ。高校生がキャンプリーダーを務め、企画・実行・管理といった役割を担いました。海洋、里山、農業、写真、職業体験など、多様なプログラムが用意されていました。

その他にも、Maple Hall Concert、Genkan Concert、Sports Banquet、Promnade、Halloween Party、International Fair、Christmas Partyなど、生徒の多様な活動を支援する行事が数多く開催されていました。

クラブ活動と国際交流

クラブ活動も盛んでした。多くの部活動はシーズン制を採用しており、生徒は特定の期間に集中的に活動する様々なスポーツ（サッカー、バレーボール、バスケットボール、テニス、野球など）を経験することができました。これに対し、トライアスロン、ランニング、スイミングは年間を通して活動していました。その他にも、TeamScience、コンピューター部、文芸部、軽音部、茶道部、点字部、科学部など、文化系のクラブが年間を通じて活動していました。これらは3人以上の部員と顧問がいれば新設可能で、生徒の多様な関心に応える柔軟な体制でした。

また、国際交流活動として、APAC（Asia Pacific Activities Conference）に参加していました。これはアジア太平洋地域のインターナショナルスクールとの間でスポーツや音楽を通じた交流を行うためのもので、選抜された生徒たちは国際的な交流を深める機会を得ていました。学園は2008年（平成20年）までAPACに参加しました。

特色あるプログラム

土曜学校
小学校の設置を望む声に応える形で始まった、小学生向けの英語学習プログラムです。土曜日の日中に行われ、全ての授業が英語で行われました。体育、音楽、美術、コンピュータなど、多様な教科を通じて英語に触れることで、総合的な英語力の向上を目指しました。教師はネイティブスピーカーが中心で、様々な地域のアクセントに触れる機会を提供しました。生徒4人に対し英語話者1人という手厚い体制を支えたのが「スチューデントスタッフ」で、生徒のサポートや先生との橋渡し役を担い、授業後のレポート提出を通じて生徒の状況把握にも貢献していました。
Just For Kids
* 毎年春休みと夏休みに実施された、幼稚園年長から小学6年生を対象とした短期英語学習プログラムです。音楽、アート、コンピュータ、スポーツなどの要素を楽しく取り入れ、子どもたちの英語力向上と国際感覚の育成を目指しました。毎回異なるテーマが設定され、約600名の生徒が参加する人気のプログラムでした。

その他

学園は宝塚音楽学校の英会話授業に協力し、母語話者を派遣した実績があります。また、千里中央駅からは専用の阪急バスが運行されており、学校近くを通る一般路線バス（JR茨木〜阪急石橋間、92系統）の方向幕には、日本語が読めない生徒向けの識別のために流れ星の印がついていたというエピソードがあります（LED化に伴い消滅）。音楽教育も充実しており、オーケストラで使用される楽器を用いた授業や、ジャズ、クラシックギターのクラスも開講されていました。

学園の歴史には、2006年（平成18年）に発生した元事務長による巨額横領事件という不祥事もありました。約3億5千万円の学校運営資金が着服され、元事務長は逮捕されています。

関西学院との法人合併

2010年（平成22年）4月1日、学校法人千里国際学園は学校法人関西学院と合併しました。存続法人は関西学院となり、学校法人としての千里国際学園は廃止されました。

合併後も、旧千里国際学園の校地は「関西学院千里国際キャンパス」と改称され、引き続き教育活動が行われています。設置校についても、千里国際学園中等部・高等部は「関西学院千里国際中等部・高等部」、大阪インターナショナルスクールは「関西学院大阪インターナショナルスクール」とそれぞれ名称が変更されましたが、略称はSIS、OISのまま引き継がれています。校門前のバス停名も「千里国際学園」から「関西学院千里国際キャンパス」に改められました。

この合併により、千里国際学園が培ってきた国際理解教育と多様性を尊重する教育理念は、関西学院の一部として継承されることとなりました。

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