孫文記念館

孫文記念館

孫文記念館は、兵庫県神戸市垂水区の舞子公園内に位置し、辛亥革命の父である孫文（孫中山）を顕彰する日本唯一の博物館です。この施設は1984年に開館し、元は「孫中山記念館」と呼ばれていました。特に注目されるのは、八角形の中国風の楼閣である「移情閣」で、これは1915年に建てられた現存する日本最古のコンクリートブロック造の建物として国の重要文化財に指定されています。

背景と歴史

孫文が日本に滞在していた際、彼を支援したのが川崎重工業の松方幸次郎でした。この縁から開館に至る経緯が生まれました。移情閣は、華僑の貿易商で相場師の呉錦堂の別荘内に設置されており、その名は、窓からの美しい風景を楽しむことができることに由来しています。特に六甲山地や淡路島が見渡せることで、「移情閣」という名称がつけられました。

建物自体は明治20年代から建設が始まり、実際に移情閣が竣工したのは1915年です。呉錦堂が還暦を迎えた際にこのコンクリートブロックの建物を建立し、昭和初期には本館の撤去があったものの、移情閣は残されたのです。それは、船舶の航行上の目印としての役割もあったからです。その後、第二次世界大戦中には軍の施設として使われることになりますが、戦後には華僑の集会所としても利用されていました。

建物は1965年の台風で被害を受け、その後放置される時期がありましたが、孫文の記念館として再生させる動きが高まりました。特に日中国交正常化から10周年のタイミングで、兵庫県に促され開館が実現したのです。

現在の場所

移情閣は1994年に移転が決定し、1995年には阪神淡路大震災に見舞われましたが、大きな被害は免れました。その後、2000年には現在の位置に移築され、2001年には「移情閣」として国の重要文化財に指定されています。また、2014年には開館から30年を迎え、孫文の銅像が除幕されるなど、記念行事が行われました。

建物の特徴

移情閣は大正4年（1915年）に竣工され、地上3階、延床面積は305.37m²あります。設計は横山栄吉によるもので、木骨コンクリートブロック造の特徴的なデザインが魅力です。館内は復元された金唐革紙で装飾されており、孫文の著作や遺品が展示されています。特に自筆の石碑「天下為公」など、彼に関する貴重な資料も多く取り揃えています。

付属棟は1890年代に建てられ、これも重要な歴史的建築物です。施設の周辺には舞子公園があり、観光スポットも豊富で、明石海峡大橋などの名所が見られます。これらの背景から、孫文記念館は観光名所としてだけでなく、歴史的・文化的にも重要な存在となっています。

観光客や歴史愛好者にとって、孫文記念館は訪れる価値のある場所です。その魅力は、過去と現在が交錯する特別な体験を提供してくれるでしょう。

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