宇佐玄雄

宇佐玄雄（うさ げんゆう/しずお、1886年4月15日 - 1957年2月14日）は、日本の臨済宗の僧侶であり、精神科医（医学博士）としても著名な人物です。京都三聖病院の初代院長を務め、森田正馬の弟子として森田療法の実践者としても知られています。

生涯

1886年、宇佐玄雄は三重県布引村の中井家に生まれました。10歳になった1896年には、伊賀市の禅僧である宇佐玄拙に師事し、出家しました。その後、1904年に上京し、早稲田大学で東洋哲学を専攻しました。1913年には、京都の大徳寺僧堂に入り、川島昭隠に師事し、禅の修行に励みました。

1919年、宇佐玄雄は東京慈恵会医院専門学校に入学し、精神科医である森田正馬に師事し、神経症学を学びました。森田療法との出会いは、彼の後の活動に大きな影響を与えました。1922年には、東福寺内三聖院客堂に病院を設立し、精神疾患に苦しむ人々の治療にあたりました。この頃、作家の倉田百三を治療したことは、倉田が自身の体験を元に『神経質者の天国』を著すきっかけとなりました。

1936年、宇佐玄雄は「神経質者の残像の研究」で医学博士号を取得しました。この研究は、神経症のメカニズムを解明する上で重要な貢献となりました。

1957年2月14日、宇佐玄雄は生涯を閉じました。

業績と森田療法

宇佐玄雄は、森田正馬から学んだ森田療法を実践し、多くの患者の治療に貢献しました。森田療法は、神経症患者が持つ不安や恐怖といった感情を無理に排除しようとするのではなく、それらの感情を受け入れ、建設的な行動を促すことを目指す精神療法です。宇佐玄雄は、その理論を深く理解し、患者一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな治療を実践しました。

著書

宇佐玄雄は、自身の臨床経験や研究成果をまとめた著書を多数出版しています。

『説得療法』（人文書院、1936年）
『癖の直し方』（人文書院、1939年）
『神経衰弱と癖の療法』（人文書院、1940年）
『精神病の看病法』（人文書院、1941年）

これらの著書は、当時の精神医学や心理療法を理解する上で重要な資料となっています。特に『癖の直し方』や『神経衰弱と癖の療法』は、森田療法の考え方を一般の人々にも分かりやすく解説した内容として、広く読まれています。

家族

宇佐玄雄の子息に、同じく精神科医である宇佐晋一がいます。宇佐晋一は、父である宇佐玄雄の業績を継承し、森田療法の普及に尽力しました。宇佐晋一の著書や論文を通して、宇佐玄雄の思想や実践が現代にまで伝えられています。

参考文献

宇佐晋一「森田療法と仏教」（『大法輪』1983年9月号）

関連人物

森田正馬：宇佐玄雄の師であり、森田療法の創始者。
宇佐晋一：宇佐玄雄の子息であり、精神科医。

外部リンク

三省会

宇佐玄雄は、臨済宗の僧侶としての深い洞察力と、精神科医としての専門的な知識を融合させ、多くの人々を救いました。彼の功績は、現代の精神医療においても重要な示唆を与え続けています。

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