宇喜多秀種

宇喜多秀種は、江戸時代後期の文政11年（1828年）に、八丈島に配流されていた大名・宇喜多氏の分家である浮田半六家の次男として生を受けました。彼の人生は、宇喜多氏一族の複雑な家系と、激動の時代に翻弄されながらも、力強く生き抜いた人々の姿を映し出しています。

天保15年（1844年）、秀種は人生の大きな転機を迎えます。宇喜多嫡家（孫九郎家）の当主であった秀邑が急逝したため、急遽、養子として迎えられ家督を継承することになったのです。しかし、その数年後、秀種は自ら孫九郎家の家督を秀邑の弟である秀監に譲り、実家である半六家に戻り家督を継ぎました。この一連の出来事は、当時の武家社会における家督相続の複雑さを物語っています。

慶応3年（1867年）には、宇喜多秀親が宗福寺に奉納していた木像が、宗福寺から返還されるという出来事がありました。この木像は、宇喜多氏の歴史を語る上で重要なものでありましたが、孫九郎家は受け取りを辞退したため、秀種が受け取ることになりました。

そして、明治維新という大きな変革期を迎えます。明治元年（1868年）、明治政府による恩赦が発令され、宇喜多一族は長年の配流生活から解放されることになりました。明治3年（1870年）8月11日、宇喜多7家と村田家1家、総勢71名は八丈島を出帆し、新たな生活を求めて東京へと向かいました。東京での生活は、前田氏の援助により、板橋の前田家下屋敷に長屋が建てられ、衣食住の全面的な支援を受けることができました。

明治6年（1873年）、明治天皇から板橋に19900坪もの広大な宅地が下賜されました。さらに、前田家からは1000両という大金が贈与され、宇喜多7家と村田家で分配し、農業を営むことで自立を目指しました。しかし、その後、浮田半六家は土地を売り払い、伊豆大島の泉津村へと移住することになりました。

宇喜多秀種の生涯は、宇喜多氏一族の歴史、そして激動の時代を生き抜いた人々の姿を伝えています。彼の人生は、決して平坦なものではありませんでしたが、その中で彼は、自身の役割を全うし、一族の歴史を繋いでいったのです。

参考文献

立石定夫『戦国宇喜多一族』（新人物往来社、1988年）ISBN 978-4-404-01511-2
近藤富蔵『八丈実記 第1巻-第7巻』緑地社、1964-1976。

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