宇夫階神社

宇夫階神社

香川県綾歌郡宇多津町に位置する宇夫階神社は、大己貴命を主祭神とする歴史深い神社です。境内には塩竈神社、金刀比羅宮、石鎚神社など、多くの神々が祀られています。古くからの伝承や歴史的変遷、そして数々の文化財を有するこの神社の魅力を深く探っていきましょう。

歴史

宇夫階神社の創建は紀元前まで遡ると伝えられています。当初は宇夫志奈大神として、鵜多郡津之郷に鎮座していました。神社の由緒には、景行天皇の皇子である日本武尊にまつわる興味深い物語が残されています。日本武尊が阿野郡に封じられた際、瀬戸内海を船で巡視中に遭遇した暴風雨の中、宇夫志奈神に祈願したところ、小鳥が道案内をして難を逃れたという逸話です。このことから、宇夫志奈大神は「小烏さん」として親しまれ、現在も地域にその呼び名が受け継がれています。

779年（宝亀10年）には光仁天皇による社殿再興の記録があり、806年（大同元年）には平城天皇の治世下で、託宣を受けて末包和直が神主となり祭祀を行っていました。翌年には、社殿から光明が射すという出来事があり、勅命によって現在の地に遷座、社殿が造営されました。その後、永禄11年（1568年）の地震で社殿が損壊しましたが、生駒氏によって再建されています。文和年間（1352～1356年）には神宮寺が創建されていましたが、明治維新の廃仏毀釈により廃寺となり、本尊の千手観音立像は聖通寺に移されました。明治27年には県社に列格しています。

境内

宇夫階神社の境内には、歴史を感じさせる建造物が数多く残されています。一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と続く参道は、神域への入り口を象徴しています。本殿は、かつて伊勢神宮外宮にあった多賀宮正殿を復元した建物で、1973年の伊勢神宮式年遷宮で解体された御古材を特別に賜り、1972年の火災で焼失した旧社殿の再建に用いられました。本殿内には、伊勢神宮より移築された豊受大神も祀られています。拝殿は鉄筋コンクリート造で、1976年に再建されました。境内には、高さ5.5m、直径4mにも及ぶ巨石や、御膳岩といった自然石も存在し、神聖な雰囲気を醸し出しています。

境内摂末社

宇夫階神社には、多くの摂末社が合祀されています。特に、塩竈神社は1735年より祀られており、宇多津町の塩田守護神として信仰を集めていました。金刀比羅宮は江戸時代から境内に存在したとされ、1855年制作の絵馬「網浦眺望青山真景図絵馬」も残されています。その他、石鎚神社をはじめ、忠魂神社、船玉神社、山王神社など多くの末社が境内や境外に点在しています。

文化財

宇夫階神社には、多くの文化財が指定されています。本殿、神饌殿、神輿蔵、雑庫、神齊殿、社務所、そして塩竈神社、金刀比羅宮、忠魂社の建物などが国の登録有形文化財に登録されています。「網浦眺望青山真景図絵馬」は町指定有形文化財、「巨石と御膳岩」は町指定天然記念物、「宇夫階神社・鹽竃神社祭礼神幸行列」は町指定無形文化財に指定されています。

アクセス

宇夫階神社は、丸亀市との境、青ノ山の北麓に位置しています。最寄りのJR宇多津駅から徒歩約10分とアクセスも良好です。

まとめ

宇夫階神社は、歴史と自然、そして信仰が一体となった神聖な場所です。多くの文化財や伝承、そして今も地域に根付く信仰は、この神社の深い歴史と魅力を物語っています。訪れる際には、その神聖な空気に触れ、悠久の歴史に思いを馳せてみてください。

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