宇宙からの病原体

『ドクター・フー』第12シリーズ第6話「宇宙からの病原体」：詳細解説

2020年2月2日、BBC Oneで放送された『ドクター・フー』第12シリーズ第6話「宇宙からの病原体」（原題:Praxeus）は、視聴者数を522万人記録した話題作です。脚本はピート・マッティグとクリス・チブナル、監督はジェイミー・マグナス・ストーンが担当しました。批評家の評価は賛否両論でしたが、そのスリリングな展開と社会問題への含蓄あるメッセージは多くの視聴者を魅了しました。

物語の舞台：2030年代の地球

舞台は2030年代の地球。マダガスカルでは人体が変質し、破裂する不可解な現象が発生。ペルーでは鳥類の異常行動が観測され、香港にはインド洋に墜落した宇宙帰還モジュールから、宇宙飛行士アダム・ラングが現れます。

13代目ドクター（ジョディ・ウィテカー）は、これらの異常現象を調査。その結果、地球外由来の病原体「プラキシアス」の増殖が明らかになります。プラキシアスは、海洋や人体に蓄積されたマイクロプラスチックを媒介して広がっているのです。さらに、調査を進めるうちに、女性研究者スキ・チェン（モリー・ハリス）が、プラキシアスの勢力を拡大させている異星人であることが判明します。

緻密な脚本と個性豊かなキャラクター

脚本を担当したピート・マッティグは、第11シリーズ「謎の差出人」の脚本も手掛けており、緻密な構成力とサスペンス演出に定評があります。本作でも、謎解き要素とスリリングな展開が見事に融合しています。

スキ・チェン役のモリー・ハリスを始め、ジェイク・ウィリス役のウォレン・ブラウンなど、個性豊かなゲストキャスト陣の演技も光ります。2020年1月上旬にDoctor Who Magazine 第547号で公開されたゲスト出演者リストにも注目が集まりました。

南アフリカでの撮影と国際的な反響

ジェイミー・マグナス・ストーン監督は、「スパイフォール」パート1と本作を含む第3製作ブロックを担当。南アフリカ共和国、特にケープタウンでのロケ撮影が行われました。壮大な自然と近未来的な設定の融合が、本作の世界観をさらに豊かに彩っています。

イギリスでの初放送後、その晩の視聴者数は397万人を記録。イギリスで4番目に視聴された番組となり、Audience Appreciation Index は78という高評価を獲得しました。その後、合計視聴者数は522万人に達し、高い人気を博しました。日本では2020年7月29日よりHuluで字幕版と吹替版が配信開始されました。

環境問題への警鐘

「宇宙からの病原体」は、単なるSF作品にとどまりません。マイクロプラスチックの海洋汚染など、現代社会が抱える深刻な環境問題をテーマに含んでいます。宇宙から来た病原体という設定を通して、人間活動が引き起こす環境破壊への警鐘を鳴らしていると言えるでしょう。プラキシアスの増殖というフィクションを通して、現実世界の環境問題への意識を高める効果も期待できます。

まとめ

「宇宙からの病原体」は、スリリングな展開、社会問題への含蓄あるメッセージ、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす、記憶に残る一話です。環境問題への関心を高めるきっかけとなる作品として、高く評価されています。視聴者からの評価も高く、その反響は国際的に広がりました。この作品は、『ドクター・フー』シリーズの中でも重要なエピソードとして位置付けられ、今後のシリーズにも影響を与える可能性を秘めています。

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