宇宙ステーション補給機

宇宙ステーション補給機（HTV）

宇宙ステーション補給機（HTV）、愛称「こうのとり」は、日本によって開発された無人宇宙補給機であり、主に国際[[宇宙ステーション]]（ISS）へ食料、水、実験機器などの物資を運ぶ役割を担っています。HTVは、宇宙開発事業団（NASDA）の後継機関である宇宙航空研究開発機構（JAXA）が開発し、主要な製造には三菱重工業、三菱電機、IHIエアロスペースなど、約350の企業が参加しました。

概要

HTVはH-IIBロケットにより打ち上げられ、高度約400キロメートルのISSへ最大6.2トンの物資を運搬します。ISSに接続するには、ハーモニー付近に配置されたロボットアームを利用して結合します。初号機を皮切りに、3号機での国産化が進み、その後は量産と運用が行われています。2009年から2020年の間、8機のHTVが打ち上げられ、全ての補給ミッションを成功裏に完了しました。

開発の経緯

HTVの開発は、国際[[宇宙ステーション]]計画において日本が補給義務を負うことを含む合意から始まりました。1995年に発表されたHTVコンセプト設計に基づき、1998年から本格的な開発が進められました。最初はH-IIAロケットでの打ち上げを計画していましたが、後にH-IIBロケットに変更されました。HTVは現在、国際[[宇宙ステーション]]への重要な補給手段となっています。

愛称とデザイン

最初のHTVには愛称がつけられなかったが、2号機以降は「こうのとり」と一般公募されました。この愛称は、赤ちゃんや幸せを運ぶコウノトリのイメージから名付けられたものです。HTVはモジュール設計を採用し、補給キャリアと電気・推進モジュールに分かれています。

安全性と補給キャリア

HTVは、故障時でも機能する「フェイルオペレーティブ」および「フェイルセーフ」の設計が施されています。補給キャリアは、与圧部と非与圧部からなり、ISSからの不要品を大気圏再突入により焼却する役割も担っています。特に与圧部は、ISSの船内で使われる補給品を搭載し、無事に運ぶための設計がなされています。非与圧部では、宇宙空間で材料の曝露実験を行うための装置なども搭載されています。

運用と打ち上げ

HTVの運用は筑波宇宙センターの管制室で行われ、NASAとの連携を通じてISSへのランデブーを行います。打ち上げからISSへの接近は約3日かかり、全ての過程は厳密に管理されています。最終的な結合は、カナダアームを用いて手動で行われ、ISSへの荷物の搬入や不要品の積み込みが円滑に進みます。

未来の展望

2020年度に最終号機である9号機が打ち上げられ、2021年度以降は新型宇宙機HTV-Xの打ち上げが計画されています。HTVは国際共同プロジェクトの中で重要な位置を占め、未来の有人宇宙船や自立型回収カプセルの実現に向けた基盤ともなっています。日本独自の宇宙ステーション計画の実現も視野に入れられるなど、その機能と意義は今後も広がっていくことでしょう。

このように、HTVは日本の宇宙開発において、物資輸送の要としての役割を果たしており、その成果は国際的にも評価されています。

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