宇尾淳子

宇尾淳子（うお じゅんこ、1926年10月12日 - 2006年9月11日）は、日本の生物学者であり、昆虫生理学と内分泌学を専門としていました。大阪府大阪市に生まれ、男爵・西五辻光仲の三女として育ちました。夫は核融合研究で知られる宇尾光治です。

学歴と職歴

1948年に奈良女子高等師範学校を卒業後、1951年には京都大学理学部動物学科を卒業しました。その後、研究者としてのキャリアをスタートさせ、1952年から1953年には純心女子短期大学（長崎）で講師を務めました。1957年には京都大学大学院（旧制）を修了し、1961年には「鱗翅目昆虫の神経分泌系の電子顕微鏡的研究」で理学博士号を取得しました。

1955年から1964年までは海星女子学院短期大学で助教授、教授として教鞭を執り、その間、1962年から1967年にはアメリカのプリンストン大学、西ドイツのミュンヘン大学、イギリスのオックスフォード大学で研究員として海外での研究活動を行いました。

帰国後の1967年から1985年までは塩野義製薬研究所で主任研究員を務め、1975年にはオーストラリアのアデレード大学で客員教授として教壇に立ちました。また、1978年には名古屋大学農学部で講師を務めるなど、教育分野でも貢献しました。

研究と著作活動

宇尾淳子の研究は、昆虫の神経分泌系に関するもので、電子顕微鏡を用いた詳細な研究で知られています。また、生物時計やホルモンの研究にも力を注ぎ、その成果は多くの著書や論文にまとめられています。

1982年には『ホルモンの不思議 アオムシがチョウになる』で日本科学読物賞を受賞しました。この受賞作を含め、一般読者向けに生物の不思議を解説した著書を多数執筆しました。主な著書には、『生物時計をさぐる 私とゴキブリと』、『生物時計のふしぎ』、『ケチのすすめ24章』、『昆虫からの贈りもの ある生物学者の一代記』、『愛に生かされて』などがあります。これらの著作を通して、科学的な知識をわかりやすく伝え、多くの人々に科学への興味を抱かせました。

また、翻訳書も手掛け、D.S.ソーンダースの『生物リズム学入門』、リチャード・ヘッドストロームの『顕微鏡による探険』、ウィリアム・J.ベルの『ゴキブリ学実験ガイド』などを翻訳しました。特に、ゴキブリに関する研究や著述も多く、ゴキブリの研究者としても知られています。

宇尾淳子の業績

宇尾淳子は、研究者としてだけでなく、科学の普及活動にも尽力しました。彼女の著書は、専門的な知識だけでなく、身近な例を交えながら生物の面白さを伝えており、多くの読者に支持されています。その業績は、日本の生物学研究の発展に大きく貢献し、後進の育成にも大きな影響を与えました。

主要著書

『生物時計をさぐる 私とゴキブリと』 蒼樹書房 1977
『ホルモンの不思議 アオムシがチョウになる』 蒼樹書房 1981
『生物時計のふしぎ』 (科学者からの手紙) 細田雅亮 絵. ほるぷ出版 1985
『ケチのすすめ24章』 思想の科学社 1990
『昆虫からの贈りもの ある生物学者の一代記』 蒼樹書房 1995
『愛に生かされて』 聖母の騎士社 1997

訳書

D.S.ソーンダース『生物リズム学入門』 理工学社 1978
リチャード・ヘッドストローム『顕微鏡による探険』 蒼樹書房 1979
* ウィリアム・J.ベル『ゴキブリ学実験ガイド』遠藤泰久共訳 蒼樹書房 1983

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