宇文憲

宇文憲の生涯と業績

宇文憲（うぶん けん、544年 - 578年）は、北周の皇族であり軍人であった。彼は斉煬王を称し、字は毗賀突である。宇文泰の七男として生まれ、孝閔帝、明帝、武帝の異母弟に当たる。

幼少期と初期の業績

宇文憲は幼い頃からその鋭敏さと度量、さらに風貌にも優れた特性があったとされている。北周が成立すると、彼は驃騎大将軍に任命され、後に開府儀同三司にも就任した。明帝が即位すると、その知識と才能が評価され大将軍に昇進する。559年、16歳の時に斉国公に封じられ、益州総管として赴任し、善政を施したという伝えられている。

軍事的な成果と敗北

564年冬、彼は突厥の要請に応じ、尉遅迥や達奚武と共に10万の兵を率いて北斉を討つために出征した。しかし、邙山で斛律光が指揮する北斉軍と対峙した際、敗退してしまう。宇文憲は、その後も士気を高めるために自ら兵を励まし続けた。569年には宜陽を包囲するが、再び斛律光に敗北。これらの経験は彼の戦略家としての資質を育むこととなった。

政治的な影響力

宇文泰の死後、彼の兄である宇文護が北周の実権を握ると、宇文憲は信任を受け、賞罰に関する全てを委任されることとなった。また、宇文護が武帝に進言する際には、まず宇文憲が提案を行うという形をとっていた。武帝が意見に反対する場合には、宇文憲が折衷案を提示していたと言われている。572年、武帝が宇文護を誅殺すると、宇文憲は感謝の意を表したが、特に問題なく大冢宰に任命された。

軍事的栄誉と最期

575年の北斉との戦いでは2万の軍を率いて黎陽に侵攻し、多くの城を攻略した。しかし、武帝の病気により一旦撤退を余儀なくされる。576年、再び北斉と対決し、数万の軍勢の主帥として活躍。北斉の安徳王高延宗との戦いにおいて、武帝が退却しようとした際には、彼の意志を押しとどめるために諌言を行った。その後、北斉が滅ぶと、宇文憲はその後の反乱を鎮圧するなど、優れた軍事的手腕を発揮した。

しかし、578年に武帝が亡くなると、彼の後を継いだ宣帝は宇文憲の影響力を恐れ、すぐに彼を謀反の疑いで粛清することを決定した。35歳という若さでの死は、彼の名声を一層際立たせ、多くの将軍や友人がその死を悼んだ。彼の息子たちも誅殺され、その家族は悲劇に見舞われた。

宇文憲の死後も、その名声は後世に語り継がれ、唐の時代においても名将として記憶されている。783年には顔真卿により、名将64名の一人として名を冠されたことが後の歴史資料から確認されている。彼の存在は、軍事における才能と政治的な影響力の両面で輝かしいものであった。

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