宇木汲田遺跡

宇木汲田遺跡：弥生時代の息吹を伝える複合遺跡

佐賀県唐津市宇木に位置する宇木汲田遺跡は、縄文時代晩期から弥生時代にかけての複合遺跡として知られています。特に弥生時代前期後半から後期にかけての甕棺墓群が中心で、当時の人々の生活や文化を垣間見ることができる貴重な場所です。

遺跡の概要

宇木汲田遺跡では、これまでの発掘調査によって、129基もの甕棺墓や3基の土壙墓が確認されています。また、縄文時代晩期末の貝塚も発見されており、当時の食生活や環境を知る手がかりとなっています。特筆すべきは、1966年の調査で縄文時代晩期末の地層から炭化米が発見されたことで、稲作の起源が縄文時代にまで遡る可能性を示唆した点です。1984年の調査では、同地層から完形の台付き鉢や土偶なども見つかり、当時の祭祀や精神文化を考える上で重要な資料となっています。

出土遺物

宇木汲田遺跡からは、多種多様な遺物が出土しています。青銅器としては、細形銅剣、細形銅戈、細形銅矛、多鈕細文鏡、銅釧などが出土しており、当時の高度な金属加工技術を物語っています。装飾品としては、勾玉や管玉が出土し、身分や権威を示すために用いられたと考えられています。また、弥生土器や石斧なども出土しており、当時の生活様式を知る上で貴重な資料となっています。これらの出土品のうち、細形銅剣2口、細形銅矛2口、勾玉、管玉は、「肥前唐津宇木出土品」として1960年に国の重要文化財に指定されており、その学術的価値の高さが認められています。

遺跡が語るもの

宇木汲田遺跡は、弥生時代の社会構造や文化、技術を知る上で非常に重要な遺跡です。甕棺墓の規模や副葬品の違いから、当時の身分制度や階層構造を推測することができます。また、青銅器や装飾品の存在は、当時の交易や文化交流の広がりを示唆しています。さらに、炭化米の発見は、稲作の起源や伝播経路を解明する上で重要な手がかりとなります。

宇木汲田遺跡は、古代史研究において欠かすことのできない貴重な遺跡であり、今後の調査によって、さらなる発見が期待されています。

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