管玉

管玉（くだたま）とは

管玉は、古代において宝飾品として用いられた、管状のビーズの一種です。糸を通して腕飾り（ブレスレット）や首飾り（ネックレス）として使われました。古代では、ガラスを含む希少な宝[[石]]から作られていたため、漢字文化圏では別の形状である勾玉やとんぼ玉とともに「玉」として分類されていました。

日本では、縄文時代からその存在が確認されており、現代と同じように装身具として用いられていたと考えられています。古墳時代には、古墳の副葬品として多く見られます。しかし、遅くとも奈良時代までには宝飾品としての製作は一旦途絶えています。本稿では、主に日本古代における管玉について解説します。

形状と素材

管玉の形状は、縄文時代のものは側面がやや楕円形をしていますが、弥生時代以降のものは正円筒形をしています。素材としては、ガラス、碧玉、滑[[石]]、凝灰岩などが多く用いられました。これらの素材は、礫石を採取する場合と原石を採取する場合があり、管玉の製作地は、原石の産出地や採取可能な海岸の近くに立地することが多かったようです。

用途

管玉は、主に首飾り、胸飾り、腕飾りなどの装身具として用いられてきました。しかし、縄文時代など時代を遡るにつれて、単に美しく飾るだけでなく、呪術的な意味合いも強かったと考えられています。古代の人々にとって、管玉は単なる装飾品ではなく、特別な力を持つものとして扱われていたのかもしれません。

穿孔技術

管玉を装身具として利用するためには、紐を通すための孔（あな）を開ける必要があります。そのために用いられた穿孔具には、竹、鳥類の骨、極細の石製のドリル（石錐）、鉄製ドリルなどがありました。竹や鳥の骨は素材玉に直接当てて穿孔しましたが、ドリルの場合は、細長い管の先に取り付けて回転させることによって穿孔しました。

ドリルを用いた穿孔技術としては、以下の3つの技法が知られています。

1. 揉錐（もみきり）技法: 管に錐（ドリル）を当てて、両手で直接揉み込むようにして回転させる技法です。
2. 弓錐（ゆみきり）技法: 弓の弦に管を巻き付け、弓を左右に動かすことで錐（ドリル）を回転させる技法です。
3. 舞錐（まいきり）技法: 管を弓の中央の孔に通し、弦を管に螺旋状に巻き付けて、弓を上下に動かすことで錐（ドリル）を回転させる技法です。

これらの穿孔作業では、木材で作った固定板の中央に穴を開け、粘土を詰めて素材の玉を埋め、さらに固定板を足で押さえるなど、材料と工具を固定する工夫が凝らされていました。また、ドリルの回転時には摩擦材として硬く微細な砂をまくなどの工夫も施されていました。穿孔後には、全体に研磨を施して仕上げることで、一つ一つの管玉が完成したと考えられています。

関連情報

管玉は、日本の古代文化を理解する上で重要な遺物です。その形状、素材、製作技術、用途などを通して、当時の人々の生活や文化を知ることができます。

脚注

大塚初重（編）、戸沢充則（編）『最新日本考古学用語辞典』柏書房、1996年6月。ISBN 4-7601-1302-9。
清水久男（編著）『製作工程の考古学』大田区立郷土博物館、1998年6月。 NCID BA39973448。

関連項目

旒（りゅう） - 冕冠につけた、宝玉を糸で貫いて垂らした飾り。玉垂（たまたれ）、中国語では玉串。
勾玉

外部リンク

田能遺跡出土の遺物「碧玉製管玉」 (『尼崎の文化財』より、尼崎市公式Webサイト)
コレクションしまねの宝もの「勾玉・管玉」 (ゆったり清らかなしまね、島根県公式Webサイト)

この文章が、管玉についての理解を深める一助となれば幸いです。

もう一度検索