宇津山城

宇津山城の歴史と遺構

静岡県湖西市の入出に位置する宇津山城。戦国時代に築かれたこの城は、浜名湖に突き出た正太寺鼻にある49.5メートルの宇津山に建てられました。城の特徴としては、郭、土塁、武者走り、舟隠し場などが挙げられ、現在でもその遺構は残っています。また、城は正太寺の敷地内に位置し、文化的な意味も有しています。

宇津山城の築城

宇津山城は、大永年間（1521年～1527年）に今川氏の家臣・長池親能によって浜名湖の西岸に築かれたとされています。初代城主は長池親能で、その後は小原親高が権力を握りました。さらに、享禄年間以降には朝比奈泰長が城主となり、城の運命が大きく変わることとなります。

戦国時代のドラマ

弘治元年（1555年）、今川氏の家宰であった氏泰が亡くなると、その嫡男・泰長が宇津山城を受け継ぎました。その後、1560年の桶狭間の戦いで今川義元が討たれ、状況が変化すると、徳川家康が三河国の統一を図る動きが見られました。そうした中、掛川朝比奈氏の分流である泰長は、今川氏への忠誠を保ち続けます。

永禄5年（1562年）、今川氏から徳川氏へと転籍した五本松城を攻撃し、その城主・西郷正勝を討ち取りますが、泰長自身も時代の波に呑まれていくことになります。彼は晩年、謡初め会の席で、徳川と結びついていた弟によって命を落としました。その後、家族間の争いが起こり、城主の座は弟に奪われます。

徳川の攻撃と城の終焉

その後も宇津山城は今川氏に忠誠を誓い続けたものの、1568年に徳川方が攻め寄せると、状況は一変します。土豪たちと共に城を守る小原鎮実は、討伐のため出撃するも敗れ、爆薬を仕掛けて逃げる両者の姿が見られました。しかし、家康の軍勢は依然として城を攻撃し続け、最終的には松平家忠によって城郭は拡張されます。

宇津山城の廃城時期は不明ですが、歴史の動乱に埋もれながらも、当時の面影を残し続けています。静岡県の歴史を語る上で、宇津山城は無視できない存在となっています。現在、訪れる人々はその遺構を目にしながら、戦国時代のドラマを感じることができるでしょう。遺構としての価値だけでなく、歴史的な背景を持つ宇津山城は、静岡県の大切な文化遺産の一つです。

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