宇田正

宇田正氏は、1932年に大阪市で生まれ、大阪大学にて文学部と法学部を卒業後、大同生命保険相互会社での勤務を経て、大阪大学経済学部の助手となります。その後、1966年に追手門学院大学経済学部の専任講師として教鞭を執り始め、助教授、教授、そして大学の付属図書館長や評議員、経済学研究科長を歴任しました。2006年に定年退職し、名誉教授の称号を得ています。

宇田氏の研究は、特に鉄道史において顕著な業績を残しています。1996年には、「近代日本と鉄道史の展開」と題する研究で大阪大学から経済学博士の学位を授与されました。この研究は、鉄道が日本の近代化に果たした役割を経営史の視点から詳細に分析したもので、宇田氏の代表的な著作の一つです。宮本又次氏に師事し、その薫陶を受けました。

著書には、『近代日本と鉄道史の展開』（日本経済評論社、1995年）、『鉄道日本文化史考』（思文閣出版、2007年）などがあります。これらの著作では、鉄道が単なる交通機関としてだけでなく、日本の社会や文化に深く根ざした存在であることを明らかにしています。また、共編著として、『宮本又次史学館』（思文閣出版、1984年）、『民鉄経営の歴史と文化 西日本編』（古今書院、1995年）、『京都滋賀鉄道の歴史』（京都新聞社、1998年）、『新しい大阪の歴史像を求めて』（嵯峨野書院、1999年）、『歴史都市圏大阪への新接近』（嵯峨野書院、2001年）、『日本鉄道史像の多面的考察』（日本経済評論社、2013年）などがあり、共同研究を通じて、鉄道史研究の裾野を広げることに貢献しました。

宇田氏の研究は、鉄道史研究に新たな視点をもたらし、経営史、社会史、文化史といった多様な分野との学際的な連携を促しました。その業績は、日本の近代史研究において重要な位置を占めています。

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