宇都宮城の戦い

宇都宮城の戦い

宇都宮城の戦いは、戊辰戦争における重要な戦いの一つです。慶応4年（1868年）4月19日と23日（新暦5月11日、15日）に、下野国宇都宮城（現在の栃木県宇都宮市）で2度にわたる攻城戦が行われました。

背景

鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が敗北した後、全国で「世直し」の動きが活発化し、下野南部でも農民たちが蜂起しました。彼らは庄屋や本陣を打ち壊しながら北上し、同年4月3日には宇都宮城下に3万人の規模で集結しました。一方、宇都宮藩家老の県信緝は、この事態を東山道総督府に報告し、救援を要請しました。

総督府は直ちに救援軍を派遣。しかし、その途上で新選組局長の近藤勇が捕縛されるという出来事も発生しました。新選組の残党を含む旧幕府軍は、徳川家の聖地である日光廟での決戦を目指し北上を開始しました。

戦闘の経過

旧幕府軍は、伝習隊を中心に約2,200人の兵力で宇都宮城を東西から挟撃する作戦を立てました。大鳥圭介率いる本隊と、土方歳三率いる別働隊に分かれ、それぞれ壬生・鹿沼方面と真岡方面へと進軍しました。

第1次宇都宮城攻城戦

土方歳三率いる別働隊約1,000人は、19日未明に街道を避け間道を通って宇都宮城を目指しました。彦根藩兵を退却させた旧幕府軍は宇都宮城下に押し寄せ、城下に火を放ちました。城は炎に包まれ、二荒山神社も被弾、城下は混乱に陥りました。

新政府軍は、東山道総督府参謀の有馬藤太の進言により、救援軍との合流を目指し宇都宮城から撤退しました。旧幕府軍も夕刻となり、戦闘を収め本陣を敷いている蓼沼方面に撤退しました。

壬生の戦い

東山道総督府は救援軍を派遣し、河田佐久馬率いる鳥取藩兵と土佐藩兵が壬生城に入りました。旧幕府軍は、壬生城攻略を企て22日に総攻撃をかけましたが、新政府軍の反撃により宇都宮城へ撤退しました。

第2次宇都宮城攻城戦

23日早暁、東山道総督府救援軍は宇都宮城奪還を目指し進軍しました。旧幕府軍も応戦し激しい戦いが繰り広げられました。この戦闘で土方歳三が足に銃弾を受け負傷し、戦線を離脱しました。新政府軍の砲撃により、旧幕府軍は八幡山方面から日光山に向けて退却しました。

新政府軍は宇都宮城を奪還し、戸田三左衛門に引き渡されました。その後、戸田忠友が帰還し宇都宮藩の政情は安定化に向かいました。

戦後

宇都宮城攻城戦後、戦いの舞台は日光に移りました。新政府軍は宇都宮城を拠点として会津方面へ転戦しました。日光では、新政府軍の司令官板垣退助が旧幕府軍を説得し、日光は戦火を免れました。

破壊された二荒山神社は明治新政府によって復興され、宇都宮城下の戦いの戦没者を弔うために、旧幕府軍側、新政府側ともに市内の寺院を中心に戦没者墓碑や慰霊碑が建てられ供養されました。

宇都宮城の戦いは、戊辰戦争における北関東の戦局を大きく左右する出来事となりました。この戦いを通じて、宇都宮は政治・軍事的な要衝としての地位を確立し、その後の発展に繋がっていきました。

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