守備防御点

守備防御点（Defensive Runs Saved, DRS）

守備防御点（DRS）は、野球において選手の守備能力を評価するために用いられる指標です。この指標は、競技者がシーズン中に平均的な選手と比較して何点の失点を防いだか、あるいは招いたかを数値化したものです。DRSは、ベースボール・インフォ・ソリューションズ社のジョン・デュワンによってプラス・マイナス・システムをもとに開発され、現在はBaseball ReferenceのWARでも利用されています。例えば、DRSが5であれば、その選手はシーズン中に平均的な選手よりも5点多く失点を防いだことを意味します。

DRSの算出方法

DRSは、各選手がそのポジションで処理したすべての打球について、打球の特性をビデオ映像などで分析し、その結果を基に計算されます。具体的には、フィールドを複数のエリアに分け、各エリアに対して打球が飛んだ速度や軌道を記録します。これにより、特定のシーズンにおける各ポジションの選手らがどれほどの打球を処理できたかを明らかにすることが可能です。

加えて、DRSは単にプラス・マイナス・システムの結果を用いるだけでなく、「アウトにすることの得点的価値」を掛け算することで、シーズンを通じていかに失点を防いだかを具体的に表現します。仮にプラス・マイナス・システムで20点を得た場合があり、その得点的価値が0.75であれば、DRSは15点となります。さらに、バント処理やダブルプレーの中継なども考慮され、より正確な数値が導き出されます。

シフトとDRAの進化

2010年代にシフトが普及すると、一部の選手が異常なDRS値を出すことがありました。このため、2012年からはシフトによる影響を個人の成績から除外し、チーム全体の成績に反映させることが決定されました。しかし、それでもシフトの影響は無視できないものとなり、2020年からはポジショニングの計算方法も変更され、選手ごとの成績はポジショニング完了位置から算出されるようになりました。

DRSとプラス・マイナス・システムの違い

DRSは、プラス・マイナス・システムとは異なるメリットを持っています。例えば、DRSでは肩の強さやダブルプレーの中継、さらには捕手の守備能力までも評価に含めています。これにより、より包括的に選手の守備力を測定することが可能となっています。さらに、アルティメット・ゾーン・レーティング（UZR）と比較すると、各プレイの難易度はシーズン単位で決定され、より細分化されたエリアで評価されるため、実効性が高い評価指標とされています。

DRSの評価基準

守備防御点は、選手やチームの戦略、シフトの使用状況によっても影響を受けます。また、特定の選手がその年にどれだけのプレイを標準以上にこなしたかを把握することができるため、個々の選手のパフォーマンス分析において非常に有用な指標です。2012年にトロント・ブルージェイズが実施したシフトの効果がその好例として挙げられ、ブレット・ロウリーがその年に12点を防いだという具体的なデータが示されました。

まとめ

このように、守備防御点（DRS）は選手の守備能力を効果的に評価するための強力なツールです。時代と共に進化しているこの指標は、今後の野球分析においても重要な役割を果たすことでしょう。

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