守屋光春 (政治家)

守屋光春（1904年2月1日 - 1988年1月26日）は、日本の政治家、神職であり、歌人としては花醉（かすい）と号しました。彼の生涯は、地方政治と神道界の両面で重要な足跡を残しました。

学生時代から教職へ

1904年、神奈川県で守屋喜代太郎、ヒデ夫妻の長男として生まれた守屋光春は、代々森戸大明神の社家を務める家柄でした。旧制中学校を卒業後、國學院大學高等師範部へ進学し、折口信夫や武田祐吉らに師事し、古典文学や短歌の才能を開花させました。また、柔道部では五段にまで上り詰めましたが、肋膜炎により一時休学を余儀なくされました。1926年に大学を卒業後、逗子開成中学校の教員として教鞭を執りました。

神職としての歩み

1931年、父に10年の猶予を請い、官幣大社浅間神社の主典に就任し、神職としての道を歩み始めます。1938年には明治神宮の禰宜に任命され、1939年には四條畷神社の宮司に就任しました。宮司時代には、音楽家の朝比奈隆に楠木正成・正行父子の歌を作曲を依頼し、ラジオで全国放送するなど、文化的な活動も行いました。

1942年、四條畷神社宮司を辞任後、地方祭務官として千葉県、福岡県へと異動し、その後國學院大學主事として学徒動員業務を担当しました。

戦後の神道改革と地域への貢献

終戦後、神社関係の民間新団体設立準備に尽力し、皇典講究所の解散にも関わりました。1946年には郷里の葉山町に戻り、森戸大明神の宮司に就任。神職が地域社会に溶け込むことの重要性を認識し、戦没者慰霊のための祖霊社を境内に祀りました。

1947年、葉山町議会議員に初当選し、2期務め、教育委員長も務めました。1956年には葉山町長に就任し、3期10年間にわたり町政を担いました。在任中、昭和天皇・香淳皇后の葉山行幸啓の際には、会釈を賜る栄誉に浴しました。また、葉山町立葉山観光館の館長も務め、昭和天皇より生物学標本を伝達されるなど、地域文化の発展にも貢献しました。

伏見稲荷大社宮司としての功績

1964年、伏見稲荷大社の第12代宮司に就任し、稲荷祭礼の復興や、神輿渡御行列の再興に尽力しました。機関誌『朱』を創刊し、多くの文化人との対談を連載し、文化交流にも寄与しました。また、結婚式場や講員大祭の開催、楼門の修築など、大社の発展に大きく貢献しました。

1982年に宮司を退任後も、同社の名誉宮司として、森戸大明神の宮司として、神職としての生涯を全うしました。1980年には神職身分特級に昇進し、1983年には神社本庁長老の称号を受けました。

人物像と晩年

守屋光春の座右の銘は「万事過不足なく」。幼少期から囲碁を嗜み、日本棋院から六段位を認定されるほどの腕前でした。1988年1月26日、83歳で逝去。葬儀は伏見稲荷大社で社葬として執り行われ、その功績が称えられました。

守屋光春は、政治家、神職、文化人として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、地域と神道界の発展に大きく貢献した人物でした。

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