武田祐吉

武田 祐吉について

武田祐吉（たけだ ゆうきち、1886年5月5日 - 1958年3月29日）は、日本の大正・昭和期における国文学者として著名であり、特に上代文学に関する研究で知られています。彼は万葉集や古事記の研究に特筆すべき業績を残し、國學院大學の教授としても多大な影響を与えました。1950年には日本学士院賞を受賞し、その学問的な貢献が認められました。

経歴

幼少期と学業

武田は1886年、東京市日本橋区（現在の東京都中央区）に生まれました。幼少期には大阪で過ごし、天王寺中学に入学。その後、小田原中学に転校し、在学中には将来小説家となる尾崎一雄の後輩でもありました。卒業後、武田は國學院大學に進学し、三矢重松に学びました。大学時代から彼の文学への情熱が育まれたのです。

卒業後のキャリア

1913年に國學院大學を卒業した後、武田は小田原中学の教員として働くことになります。しかし、教育職を辞し、佐佐木信綱が編纂する『校本万葉集』の編集に従事することとなりました。この仕事を通じて、彼は佐佐木が蒐集した古文書の中から花山院長親の『耕雲千首』を発見し、重要な研究成果を得ました。この奥書には後亀山天皇の元中年間に不可思議な存在であった南朝の仙洞について触れられており、彼の研究はその歴史の謎を解く手助けとなるものでした。

大学での活動

1920年には國學院大學で講師に就任し、1926年には教授に昇格しました。1930年には学位論文『万葉集仙覚本ノ研究』を京都帝国大学に提出し、文学博士号を取得しています。その後も武田は『万葉集』や『古事記』などの研究を続け、1950年に日本学士院賞を授与されるまでに至ります。彼の業績は日本古典文学の理解を深め、後の学者たちにも影響を与えるものとなりました。

戦後と亡くなるまで

戦後、國學院大學が新制大学へと移行する中で、武田はこの変革をリードしました。1948年には新制文学部が開設され、初代文学部長としてその運営に尽力しました。彼の人生は、学問の進展と教育への貢献に捧げられましたが、1958年に心臓衰弱のために死去しました。彼の墓所は多磨霊園にあります。

受賞歴と評判

1950年には『万葉集』の研究に対して日本学士院賞を受賞し、彼の学問的成果は広く評価されました。武田の研究は、日本の古典文学の理解において重要な役割を果たしており、彼の著作や研究成果は今もなお多くの人々に読まれ続けています。

参考文献

• - 村田正志「長慶天皇研究に於ける武田博士の功績」（『國學院雑誌』第59巻10-11号（1963年））
• - 中村啓信「武田祐吉」『国史大辞典 9』（吉川弘文館 1988年）
• - 古橋信孝「武田祐吉」『日本歴史大事典 2』（小学館 2000年）

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