安井誠

安井誠（やすい まこと）は、1926年5月19日に北海道札幌市で生まれ、1997年3月11日に生涯を閉じた大蔵官僚、そして実業家です。

人物

1948年に東京大学法学部を卒業後、大蔵省に入省し、税務分野でキャリアを積みました。関東信越国税局直税部長の時代には、飯塚事件のきっかけを作った人物としても知られています。これは、飯塚毅に対する個人的な恨みが背景にあったとされています。1965年には証券局企業財務課長として、山陽特殊製鋼の粉飾決算を摘発し、これを機に約700社にも及ぶ上場企業の調査を実施しました。その結果、40社もの粉飾決算を明らかにし、1974年の商法特例法制定へと繋がりました。

1977年に証券局長を最後に大蔵省を退官した後、1979年には安田火災海上保険（現・損害保険ジャパン）の副社長に迎えられましたが、当時の後藤康男社長との確執から翌年には退任。その後、東邦生命保険（現・ジブラルタ生命保険）の会長を務めました。その手腕は高く評価される一方で、ワンマンな一面も持ち合わせていたと伝えられています。

経歴

札幌第一中学校（現在の北海道札幌南高等学校）48期卒業
1947年：高等試験行政科合格
1948年：東京大学法学部卒業、大蔵省入省（給与局）
1949年：主計局給与課
1951年：釧路税務署長
1963年：関東信越国税局直税部長
1964年：国税庁資産税課長
1965年：証券局企業財務課長
1968年：主税局税制第一課長
1970年：主税局総務課長
1971年：福岡国税局長
1972年：銀行局保険部長
1974年：大臣官房審議官（大臣官房担当）兼 財務研修所長
1975年：日本銀行政策委員会審議委員
1976年：証券局長
1977年：大蔵省退官
1979年：安田火災海上保険副社長（のち副会長）
1980年：日本証券経済研究所顧問
1982年：東邦生命保険会長
1989年：東邦生命保険相談役
1997年：死去


安井誠は、大蔵官僚としてのキャリアを通じて、日本の経済界に大きな影響を与えた人物です。特に、粉飾決算の摘発や商法特例法の制定など、企業会計の透明性向上に大きく貢献しました。その一方で、組織のトップとしてリーダーシップを発揮し、複数の企業で要職を歴任。退官後も、その経験と知識を活かして経済界で活躍しました。

参考文献

大蔵省証券局、栗林良光著『講談社』、1988年5月
* 『現代日本朝日人物事典』、朝日新聞社、1990年12月

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