安井謙

安井 謙（やすい けん）

安井謙は、1911年に岡山県岡山市に生まれ、1986年に日本の政治界での長いキャリアを経て亡くなりました。彼は日本の戦後政治において重要な役割を果たし、その経歴には参議院議長や自治大臣、国家公安委員会委員長といった要職が含まれています。

学生時代と初期のキャリア

安井は岡山第二中学校と第六高等学校を経て、京都帝国大学の経済学部を1935年に卒業しました。学生時代には学生運動に積極的に参加し、左翼思想に傾倒していたため、「マルクス坊や」と呼ばれることもありました。それでも、彼はスポーツにも秀でており、柔道6段と空手6段を取得するなど、多才な一面を持っていました。

卒業後は南満洲鉄道に入社し、経理部で働きましたが、戦後は兄の安井誠一郎が初代東京都知事に就任した後、秘書として活躍します。彼の政界進出は、1950年に行われた第2回参議院議員通常選挙から始まりました。この選挙では自由党公認で東京地方区から出馬し、見事にトップ当選を果たしました。

政治家としての活動

以降も安井は6期、36年間にわたり参議院議員としての地位を維持し、1955年の自由民主党の結成に参加しました。1957年からは参議院の議院運営委員長として活躍し、その後も党内で数々の要職を歴任しました。特に、田中角栄や三木武夫、福田赳夫といった歴代の総裁のもとで、自由民主党の参議院議員会長、幹事長、東京都連会長などの重要な役割を果たしました。

また、1957年から1986年まで東京都国民健康保険団体連合会の理事長としても活動し、地域福祉にも貢献しました。

入閣と主要活動

安井は、吉田内閣や池田内閣、佐藤内閣においても重要な役職を歴任しました。初めて入閣した際、自治大臣と国家公安委員会委員長に任命され、さらに総理府総務長官に就任しました。この職務において、建国記念の日、敬老の日、体育の日といった重要な記念日の制定に関与しました。その後も1968年には参議院副議長、1977年には参議院議長に選出されるなど、政治界での存在感を示し続けました。

1980年の衆参同日選挙では、自民党の推薦を受けながらも無所属で出馬し、過去最多となる131万5583票を獲得し、再びトップ当選を果たしました。参議院議長としての任期を終えた後は、1981年に勲一等旭日桐花大綬章を受章しました。

晩年と死去

1985年には健康を損ない入院しましたが、その後の療養も含め、経過は芳しくありませんでした。最終的には1986年に急性心不全により東京で他界し、その死後すぐに従二位に叙される名誉を受けました。

安井謙の政治家としての足跡は、戦後日本の変革と発展に大きく寄与し、その功績は今もなお多くの人々に記憶されています。

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