安保正敏

安保正敏（1907年11月18日-1971年3月20日）は、日本の実業家として知られています。三重県松阪市に生まれ、その名を広く知らしめることとなるのは、三重交通や東海テレビ放送といった企業での活躍でした。

安保の経歴は、1929年に同志社専門学校高等商業部を卒業したことに始まります。その後、日本の経済界で頭角を現し始め、1942年には松阪電気鉄道の社長に就任。企業経営の才能を示しました。1944年には、企業統合によって三重交通の専務取締役に就任し、1954年には社長に昇格。三重交通の経営を牽引する立場へと上り詰めました。

安保の活躍は、交通事業のみに留まりませんでした。放送業界にも進出し、1957年には近畿東海放送の社長に就任します。翌1959年には、ラジオ東海との合併により、東海ラジオ放送の社長も兼任することとなります。さらに、同年には東海テレビ放送の副社長に就任し、1967年には社長に昇格。放送業界においても重要な役割を果たしました。

これらの役職に加え、安保は三重交通会長や近畿日本鉄道取締役なども歴任し、幅広い事業に関わったことがわかります。その影響力は、交通業界のみならず、放送業界にも及んでいました。

安保正敏と赤福とのつながりも見逃せません。赤福の代表取締役社長である濱田勝子は、安保の三女にあたります。また、濱田勝子の夫は赤福の元会長である濱田益嗣です。このことから、安保家は日本の経済界において重要な役割を担っていたことがうかがえます。

数々の企業で要職を務めた安保正敏でしたが、1971年3月20日、大阪での出張中に心臓発作のため急逝しました。享年63歳でした。その急逝は、多くの関係者に深い悲しみを与えたことでしょう。

安保正敏の生涯は、日本の戦後経済の発展と深く関わっています。交通事業と放送事業の両面で活躍し、企業経営者として卓越した能力を発揮しました。彼の功績は、現在もなお日本の経済界に影響を与え続けていると言えるでしょう。参考文献として、人事興信所編『人事興信録 第15版 上』（人事興信所、1969年）が挙げられます。

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