安倍貞任

安倍貞任について

安倍貞任（あべのさだとう）は、平安時代中期に活躍した武将であり、安倍氏の棟梁として知られています。彼は奥六郡を支配した安倍頼時の次男で、厨川柵の主としての役割も担っていました。また、彼には藤原経清という妹婿がおり、奥州藤原氏の初代である藤原清衡の父にあたります。これにより、貞任と清衡は伯父と甥の関係にあります。

経歴

貞任の物語は永承6年（1051年）に始まります。この年、安倍氏と京の朝廷から派遣された陸奥守の藤原登任との衝突が勃発しました。これがきっかけで、前九年の役と呼ばれる12年間にわたる戦争が始まり、貞任と彼の兄弟たちは東北各地で奮闘します。彼はその中で多くの戦に臨みました。

翌年の永承7年（1052年）、源頼義が登任の後任として派遣され、ようやく安倍氏は朝廷からの大赦を受けました。しかし、その後の天喜4年（1056年）には、阿久利川において藤原光貞の営舎が襲撃される事件、いわゆる阿久利川事件が発生し、これにより貞任は再び戦争に巻き込まれます。頼義は事件の首謀者として貞任を指名し、彼の父である頼時がこれを拒否したため、両者は再び敵対することとなりました。

天喜5年（1057年）、安倍頼時が戦死すると、貞任がその後を継ぎ、弟の宗任と共に家族を率いて戦闘を続けます。同年11月には、河崎柵を拠点に黄海の戦いにおいて国府軍に大勝しましたが、康平5年（1062年）には、清原氏が国府軍に味方し形勢が逆転。安倍氏の拠点も次々と陥落し、9月17日には厨川の戦いで敗北。貞任は深い傷を負い捕られ、源頼義の前に引き出されましたが、その瞬間に命を落としました。この時、彼は44歳または34歳とされています。彼の首は打ち付けられた上で、朝廷に送られました。

後裔

安倍貞任の子孫たちは、後に津軽地方の豪族・安東氏（後の秋田氏）を名乗りました。さらに群馬県の利根郡みなかみ町には、彼の子孫が発見したと言われる湯檜曽温泉があります。そこには本家旅館という宿も存在し、その経営が子孫によって続けられています。また、貞任の息子を含む残党も奥羽山脈の尾根を南下し、分かれて新潟と群馬の境で新たに姓を「阿部」と名乗り、時代を超えて交流があったことが伝えられています。

墳墓

安倍貞任の埋葬地に関しては確定していませんが、各地に伝説が存在します。貞任峠や足手谷、また下宇津八幡宮など、彼にゆかりの深い地名として記憶されています。加えて、料理や風習を受け継ぐところもあり、天昌寺や貞任宗任神社などが彼を祀っています。

史料

貞任に関する記録は『陸奥話記』や『塩沢町史』などに見受けられます。また、彼の生涯や業績は、映画やNHKの大河ドラマ『炎立つ』でも取り上げられています。彼の物語は、平安時代の武士たちの姿をより深く理解させる資料となっています。

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