奥六郡

奥六郡：古代から中世を彩った東北の要衝

奥六郡は、古代日本の律令制下において、陸奥国の中部に位置した6郡（胆沢[[郡]]、江刺[[郡]]、和賀[[郡]]、紫波[[郡]]、稗貫郡、岩手[[郡]]）の総称です。現在の岩手県奥州市から盛岡市にかけての地域とほぼ一致します。

複雑な歴史的変遷

奥六郡の歴史は、大和朝廷の東北地方支配と深く関わっています。奈良時代後期、朝廷は坂上田村麻呂を指揮官とする軍勢を派遣し、東北地方への進出を図りました。その結果、802年には胆沢城に鎮守府が置かれ、朝廷の支配が現在の岩手県まで及ぶことになります。

その後、811年には北上川と雫石川の合流付近に志波城が築かれ、志波三郡（和賀[[郡]]、稗貫郡、紫波[[郡]]）が成立しました。これと、既存の胆沢[[郡]]、江刺[[郡]]、磐井[[郡]]（後の西磐井[[郡]]）が合わさり、律令制下の六郡体制が整えられました。しかし、その後も郡域の変遷は続き、磐井[[郡]]は国府多賀城領に編入されるなど、複雑な経緯を辿ります。10世紀には、斯波郡から岩手[[郡]]が分離独立するなど、現在の郡域とは異なる状況が続いていました。

奥州安倍氏と奥州藤原氏

11世紀に入ると、奥州安倍氏が奥六郡に勢力を伸ばし、大和朝廷から「六箇郡の司」という地位を認められました。安倍氏は、この地で大きな勢力を持つようになります。しかし、前九年の役において、源頼義率いる河内源氏との戦いに敗れ滅亡します。その後、奥六郡は出羽清原氏に継承されますが、後三年の役で源義家の介入により、最終的に藤原清衡が支配することになります。

藤原清衡は奥州藤原氏を興し、平泉を拠点として東北地方を支配しました。奥州藤原氏は、権勢を誇りましたが、12世紀末の奥州合戦で源頼朝に敗れ、滅亡しました。

近世以降

南北朝時代には、源義家の後裔である足利氏が紫波[[郡]]に進出し、「斯波氏」を名乗りました。斯波氏は室町幕府の三管領筆頭として重要な役割を果たしました。

現代の奥六郡

現代では、奥六郡は岩手県を南北に流れる北上川沿いの北上盆地南部を指し、稀に「北上平野」と呼ばれることもあります。ただし、明治時代初期に旧磐井[[郡]]が分割されたため、現在の行政区分とは完全に一致しません。特に、奥州藤原氏の本拠地であった平泉町を含む西磐井[[郡]]は、奥六郡と密接な関係を持っています。そのため、「奥六郡」という場合、西磐井[[郡]]を含めることも少なくありません。

奥六郡は、古代からの歴史と、奥州安倍氏、奥州藤原氏など、歴史上の重要な勢力と深く結びついた地域です。その歴史的変遷と、現在の岩手県の姿を知る上で、重要なキーワードとなっています。

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