安国寺利生塔

安国寺と利生塔について

安国寺と利生塔は、南北朝時代に足利尊氏・直義兄弟によって、北海道と沖縄を除く日本各地に建立された寺院と仏塔です。これらの寺院と仏塔は、光厳上皇の院宣によって、寺号を「安国寺」、塔名を「利生塔」と定められました。

設立の背景

安国寺と利生塔の建立は、臨済宗の僧である夢窓疎石の進言によるものでした。後醍醐天皇をはじめとする戦没者の菩提を弔うため、聖武天皇が国ごとに国分寺を建立した故事に倣い、各国に1寺1塔を建立する計画が立てられました。1345年（貞和元年）には、北朝の光厳院の院旨を得て、正式に寺号を安国、塔名を利生としました。

建立の経緯

1338年（暦応元年）の和泉・久米田寺を皮切りに、南北朝時代中期にはほとんどの安国寺と利生塔が完成しました。新しく造営されたものもありますが、既存の寺院を修理して安国寺や利生塔とした場合もありました。

歴史的意義

安国寺の建立は、禅宗、特に臨済宗が地方に広まる大きなきっかけとなりました。また、利生塔は、禅宗以外の宗派を統制する役割も果たしました。このように、安国寺と利生塔は、文化的な側面だけでなく、政治的な側面でも大きな意義を持っていました。しかし、室町幕府の衰退とともに、安国寺と利生塔も次第に衰退していきました。

一休さんと安国寺

テレビアニメ「一休さん」では、実在した一休宗純の伝承に基づき、山城国安国寺が一休さんが修行していた寺として描かれています。しかし、山城国安国寺はすでに廃寺となっているため、アニメに登場する安国寺は、現存する丹波国安国寺をモデルにしています。

各地の安国寺と利生塔

安国寺と利生塔は、全国各地に建立されましたが、詳細な所在地については未解明な部分も多くあります。以下に、安国寺と利生塔の候補地として挙げられている地域を示します。

諸国安国寺一覧

※●は安国寺候補。

[具体的なリストは省略]

諸国利生塔一覧

※掲載されていない国は未詳。●は利生塔候補。

[具体的なリストは省略]

関連事項

安国寺と利生塔に関連する事項として、以下のものが挙げられます。

安国寺恵瓊（安芸国安国寺の住職）
各地の安国寺
総社
国分寺

参考文献

安国寺と利生塔に関する研究は、以下の文献で詳しく解説されています。

辻善之助『日本仏教史研究』（第二巻）岩波書店
今枝愛真『中世禅宗史の研究』東京大学出版会
松尾剛次「安国寺・利生塔再考」山形大学紀要（人文科学）14-3。2000年（松尾剛次著『日本中世の禅と律』吉川弘文館、2003に再録）。
全国安国寺会『日本再発見 安国寺風土記』文芸社


安国寺と利生塔は、日本の歴史と文化を語る上で重要な存在であり、その歴史的意義は今日においても深く考察されるべきでしょう。

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