安城線

安城線：韓国のローカル線の歴史と終焉

安城線は、大韓民国の中部地方を走っていた鉄道路線です。忠清南道天安市の天安駅を起点に、京畿道安城市の安城駅を結んでいました。全長28.4kmと短い路線でしたが、その歴史は長く、そして幾多の変遷を経て廃止に至った、興味深い存在です。

開業から廃止まで

安城線の歴史は1925年に遡ります。朝鮮京南鉄道によって、天安と安城を結ぶ路線として開業しました。その後、1927年には安城からさらに北へ延伸され、京畿道利川市の長湖院駅まで開通、路線延長は69.8kmにまで達しました。

しかし、1944年、安城駅から長湖院駅までの区間は「不要不急線」として休止、後に廃止されることとなりました。戦後、1946年に天安―安城間は国有化され、1955年には路線名が「安城線」と改称されました。

その後も安城線は運行を続けましたが、利用者の減少や老朽化などの問題を抱えるようになりました。1978年には長項線の線路移設工事の影響で、天安駅区内の乗り場が一時閉鎖され、新富駅が新設されるなど、様々な変化がありました。

1982年には旅客営業の中止が発表されましたが、地域住民からの反対により一旦保留されました。しかし、1985年には全線で旅客営業が中止となり、翌1989年には貨物営業も中止、ついに全区間が廃止されました。安城線の終焉は、地域の交通に大きな影響を与えたと言われています。

未実現の延伸計画

安城線には、さらに北へ延伸する計画がありました。1924年には安城から驪州郡驪州邑（現在の京畿道驪州市）への延伸計画が許可されました。これは、水驪線と接続し、地域全体の交通網を拡大することを目指したものでした。しかしながら、この計画は実現せず、安城線の歴史に「もし」として残ることとなりました。

路線データと駅

安城線の概要は以下の通りです。

路線距離：28.4km（長湖院駅まで営業していた当時は69.8km）
軌間：1435mm
駅数：7（長湖院駅まで営業していた当時は16）
複線区間：なし
* 電化区間：なし

主な駅は、天安駅、新富駅、笠場駅、古池駅、安城駅、注川駅、行竹駅、長湖院駅などがありました。これらの駅は、廃止後、周辺地域の開発や変化によって、その姿を変えていることでしょう。

安城線の意義

安城線は、短いながらも韓国の地方鉄道の歴史を語る上で重要な路線でした。その開業から廃止までの過程は、時代の変化や社会情勢の変化を反映し、地方交通のあり方について多くの示唆を与えてくれます。安城線の歴史を学ぶことは、韓国の近代史、特に交通史を理解する上で欠かせないと言えるでしょう。また、廃止された路線の跡地は、新たな用途に転用され、歴史と現代が共存する空間として再利用される可能性も秘めています。

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