安川加壽子の生涯と業績
安川加壽子(やすかわ かずこ、生年:
1922年2月24日 - 没年:
1996年7月12日)は、
1940年代から日本の音楽界で活躍した
ピアニストであり、教育者としても著名です。彼女の本名は草間加壽子(くさま かずこ)であり、独身時代にはこの名前で活動していました。彼女の生涯にわたる貢献は、日本の
クラシック音楽シーンに多くの影響を与えました。
安川加壽子は
兵庫県武庫郡深江(現在の
神戸市東灘区深江)に生まれ、
1923年には一家で
フランスに渡り、そこで育ちました。彼女の父はシカゴ大学を卒業後、
国際連盟事務局に勤務した外交官で、母親はオーバリン大学の卒業生でした。そんな環境の中で、彼女は
フランスの当時の音楽流儀を学び、
1940年代に帰国後、日本の音楽界の重要な人物の一人として位置づけられるようになりました。
学歴とキャリア
1934年には
パリ国立高等音楽院に入学し、アカデミックな音楽教育を受けることになります。ラザール・レヴィの指導の下、厳しい訓練を経て
1937年に音楽院の一等賞を獲得して卒業しました。しかし、
1939年の国際情勢の悪化を受け、帰国し、1940年に日本国内でのデビューリサイタルを成功させました。その後、
1944年に国文学者の安川定男と結婚し、二男一女を育てました。
彼女は、
1983年まで教育と演奏活動を続け、リウマチの悪化を理由に引退を余儀なくされました。しかし、その間に数々の受賞歴があり、
1937年には
パリのUFAM国際婦人コンクールで名誉賞、
1947年に芸術祭文部大臣賞を受賞。海外でも評価され、1959年には
フランス政府から学術シュヴァリエ勲章を受章しました。さらには、
1993年には勲二等瑞宝章が授与されています。
審査員としての活動
安川は、多くの国際音楽コンクールの審査員を務めました。
1971年にはロン=ティボー国際音楽コンクール、
1973年にはジュネーヴ国際音楽コンクール、
1980年にはショパン国際
ピアノコンクールの審査員を務めるなど、国内外で高い評価を受けました。特に、日本国際音楽コンクールの運営委員長としても尽力し、多くの才能を育成しました。
教育への貢献
彼女はまた、ドビュッシーの楽譜の高価さを受け、
1947年から音楽之友社からドビュッシーの作品集を分冊で発表しました。独自の運指やペダリングの解説を載せたその著作は、今も多くの
ピアニストに利用されています。加壽子の教育への情熱は多くの弟子たちに影響を与え、音楽界全体の発展に寄与しました。
著書と評伝
安川の生徒たちや研究者によって、彼女の業績が後世に語り継がれています。特に、青柳いづみこの著書『翼の生えた指 評伝安川加壽子』は彼女の魅力を深く掘り下げています。
彼女の生涯を通じての多大な貢献と、日本の
クラシック音楽界における位置づけは、今なお多くの人々に影響を与え続けています。安川加壽子の名前は、未来の
音楽家たちにとっても一つの指針となることでしょう。