安政の泣き一揆

安政の泣き一揆

安政の泣き一揆は、1858年7月11日、加賀国で発生した民衆による大規模な一揆です。この一揆は、当地の自然状況や経済的困窮に対する強い反発として起こったもので、特に米の開放を求める叫びが特徴的でした。

背景

1858年の加賀地方では、冷夏や長雨といった自然災害が続き、これが米の生産に大きな打撃を与えました。この年は特に米の不作が顕著で、これに伴い市場での米の価格が高騰しました。価格が急上昇するとともに、せっかくの生活必需品である米が買占めや売り惜しみの対象となり、多くの庶民は困難な状況に追い込まれました。多くの人々が日々の食生活すらままならない状態となり、次第に不満が高まっていきました。

一揆の発生

7月11日の夜、約2,000人の人々が卯辰山に集まり、そこから金沢城に向かって米の開放を求める叫び声を上げました。この集団は、卯辰山から金沢城まで直線距離にして約1.7kmの道のりを声を合わせて進みました。彼らの叫び声は風に乗って、山下にある重臣屋敷や金沢城の耳にも届きました。この圧倒的な人民の声は、当時の権力者にも大きな衝撃を与えたことでしょう。

一揆の翌日には、藩の御蔵米から500俵が放出され、米の価格を引き下げるよう命令が出されました。このように、一揆は一時的ではありますが、民衆の声が反映される結果をもたらしました。

その後の展開

とはいえ、事前の許可なしに直訴を行うことは、その当時の法律において重罪とされていました。そのため、一揆の首謀者たちは厳しく取り締まられることとなります。7月26日には、主導したとされる7名が捕らえられ、この中の5名は打ち首となり、残る2名は獄死しました。

彼らの霊を慰めるために、卯辰山の山道には「七稲地蔵」が建立されました。この地蔵は、1908年に浄土宗寿経寺に寄進され、山門前に安置されることとなりました。地蔵の周囲には、墓碑と説明板も設置されており、後に来る人々に彼らの出来事を伝える役割を果たしています。

なお、この寿経寺の門徒は武士であり、彼らの手により七稲地蔵が保護されたと考えられています。これにより、安政の泣き一揆はただの歴史的事件に留まらず、今なお人々にその後の教訓を伝えているのです。

関連項目

• - 卯辰山
• - 武士の家計簿：主人公の猪山直之が藩内の不正を訴える中で、泣き一揆についても描かれています。

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