卯辰山

卯辰山（うたつやま）

卯辰山は、石川県金沢市に位置する山であり、市民にとって身近な存在です。金沢城から見て東の方角に位置することからその名が付けられたという説がありますが、実際には卯辰の方角には位置していません。宇多須山、向山、夢香山、臥竜山、春日山など、数多くの別名を持っています。

概要

卯辰山一帯は「卯辰山公園」として整備されており、日本の歴史公園100選にも選ばれています。山頂には国土地理院の二等三角点「金沢」が設置されています。

文化、文政年間には、陶芸家の青木木米によって春日窯が開かれ、九谷焼再興の先駆けとなりました。金沢城を見下ろす位置にあるため、江戸時代には庶民の登山が禁じられていましたが、安政5年（1858年）に安政の泣き一揆と呼ばれる事件が発生し、首謀者7人が死罪となりました。

江戸時代末期の慶応3年（1867年）には、加賀前田家14代藩主である前田慶寧が卯辰山への立ち入り禁止を解き、養生所、撫育所、工房、娯楽施設などを設ける大規模な総合開発を行いました。

1947年（昭和22年）には、徳田秋声を顕彰する文学碑が室生犀星の揮毫、谷口吉郎の設計によって山頂近くに建てられました。1958年（昭和33年）には、山頂付近に動物園、水族館を付属した娯楽施設「金沢ヘルスセンター」が開園し、1993年（平成5年）の閉園まで市民に親しまれました。

1960年（昭和35年）には県営卯辰山相撲場が開設され、翌年からは高等学校相撲金沢大会が開催されています。1981年（昭和56年）に石川県産業展示館3号館が完成するまでは、プロレス興行にも使用されていました。

公園内の見どころ

卯辰山公園内には、数多くの石碑や像が点在しています。

泉鏡花句碑
蓮如上人像
花菖蒲園（ひょうたん池）
豊国神社
津田米次郎像（絹力織機の発明者）
日蓮上人像
玉兎ヶ丘
殉職警察官の碑
望湖台
卯辰山公園花木園
徳田秋聲文学碑
長崎キリシタン殉教者碑
横空台
月見台
卯辰山運動場
殉難消防団員之碑
卯辰山相撲場
殉難豊川女子挺身隊員世界平和祈願像（殉難乙女の像）
卯辰山養生所跡

卯辰山を舞台にした作品

卯辰山は、文学作品や舞台芸術の舞台としても登場しています。

泉鏡花『義血侠血』（新派劇「瀧の白糸」）：主人公の二人が卯辰橋で再会する場面があります。
伊集院静『白い声』：金沢とバルセロナを舞台に、卯辰山工芸工房でガラス工芸を学ぶヒロインと能登生まれの作家との恋愛小説です。
石川さゆり『滝の白糸』：歌詞に「卯辰橋」が登場します。
ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ：キービジュアルに卯辰山が登場します。

卯辰山山麓寺院群

卯辰山の麓には、数多くの寺院が点在しており、歴史的な景観を形成しています。

外部リンク

卯辰山公園施設案内 - 金沢市

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