安泰寺

安泰寺（あんたいじ）

安泰寺は、兵庫県美方郡新温泉町の久斗山に位置する曹洞宗の坐禅道場で、現在の住職は中村恵光氏です。安泰寺は、1921年に丘宗潭によって創設され、当初は京都の玄琢という地において曹洞宗の宗学研究の場でした。その後、第二次世界大戦を挟む形で、多くの伝統的な宗学が継承されていきました。

沿革と再興

1949年、戦争による荒廃から立ち直るため、沢木興道と内山興正の師弟が安泰寺に入寺し、道元の教えに基づいた「紫竹林参禅道場」として再建されました。この道場は、坐禅と托鉢行に焦点を当てたシンプルな修行を行い、次第に日本国内外から多くの参禅者が集まるようになりました。

道場の成長に伴い、修行者の増加と周囲の宅地化による騒音が問題視されるようになり、1976年に安泰寺は現在の久斗山へ移転しました。この地は山々に囲まれた静かな環境で、自給自足の生活を実現する理想的な場所でもありました。安泰寺の境内は50ヘクタールにも及び、広大な自然の中での修行生活が行われています。

以前はドイツ人のネルケ無方氏が9代目住職を務め、在任期間の2002年から2020年の間に数多くの坐禅リトリートや長期参禅のプログラムが開催されました。現在も、これらの活動は継続しており、多くの人々に禅の教えが広まっています。

メディアの取り上げ

安泰寺はその独自性から多くのメディアに取り上げられています。2011年には、NHKの「こころの時代」にネルケ無方住職が出演し、「坐禅は生涯の〝主食〟」というテーマで講演を行いました。また、2016年にはヴェルナー・ペンツェル監督によるドキュメンタリー『Zen for Nothing』が制作され、安泰寺の活動を国際的に紹介しました。日本での初公開は2018年1月に行われました。2021年5月には、NHKのBS1スペシャルとして「何も求めず ただ座るだけ〜自給自足の禅寺 安泰寺の1年〜」が放送され、安泰寺の一年を通じた営みが紹介されました。

参考文献

安泰寺に関する多くの著作が発表されています。ネルケ無方氏は、複数の著書を通じて日本の仏教や禅の教えを広めており、『迷える者の禅修行』や『ただ坐る』といった作品が特に著名です。さらに、禅に対する深い洞察や体験は多くの人々に影響を与えています。

神社や関連する施設も周辺には点在しており、久斗山大杉神社なども訪れる価値のあるスポットです。公式ウェブサイトでは、安泰寺の座禅リトリートや活動内容についての詳細が確認できます。安泰寺は、今後も国内外からの参禅者に開かれた修行の場として、その役割を続けていくでしょう。

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