ネルケ無方

ネルケ無方の生涯と活動

ネルケ無方（ネルケ むほう、1968年3月1日生まれ）は、ドイツに生まれた曹洞宗の僧侶です。2002年から2020年までの間、兵庫県にある安泰寺の住職を務めました。彼の俗名はイェンス・オラフ・クリスティアン・ネルケ（Jens Olaf Christian Nölke）で、特に日本における禅の普及に努めていることで知られています。

幼少期と教育

ネルケは牧師の家に生まれ、7歳の時に母を失った経験があります。彼の教育はキリスト教主義の学校で受けられ、そこで坐禅と出会います。この出会いが彼に、将来日本で禅僧になるという夢を抱かせました。

ベルリン自由大学の日本学科と哲学科で学ぶ中、1990年に半年間京都大学に留学し、昌林寺や安泰寺で実践的な修行を積みました。1991年に帰国後、道元についての修士論文を提出し、大学を卒業。さらに、博士後期課程に進むものの、1993年に安泰寺で出家するために中退しました。

出家と修行の道

安泰寺での出家後、ネルケは1995年に臨済宗の東福僧堂や曹洞宗の発心寺でさらに修行を重ね、日本の禅の深い理解を追求します。1997年に再び安泰寺に戻り、2001年には師匠のもとで嗣法を受けた後、大阪城公園でホームレスとともに坐禅を行う活動を始めました。

2002年、彼は師の急逝を受けて安泰寺に戻り、第9代住職に就任します。この年、彼は結婚し、家庭を持ちながら僧侶としての生活を続けます。次第に彼の知名度は高まり、多くの講演や坐禅の指導を通じて、内外で仏教の教えを広めていきます。

著作とメディア活動

ネルケは多くの著書を持ち、『迷える者の禅修行』は代表作として2011年の新潮ドキュメント賞の候補となりました。他にも、彼の著作には『ただ坐る』や『ドイツ人住職が伝える禅の教え』などがあり、いずれも日本の仏教や禅に関する深い知見が反映されています。

加えて、彼は映画『Zen for Nothing』や数々のドキュメンタリーに出演し、テレビ番組でも禅の教えや人生哲学を広めています。NHKの「こころの時代」などでの登場も記憶に新しいです。

晩年と現在

2020年に安泰寺の住職を引退した後は、大阪を拠点に坐禅会や勉強会を開催し、NHK文化センターや朝日カルチャーセンター等で講師を務めています。また、定期的に寄稿や連載を行い、引き続き禅の普及活動に力を入れています。彼の活動は、日本における禅の理解を深めるだけでなく、海外の人々にも好評を得ています。

ネルケ無方は、仏教の教えを現代社会においてより身近に感じてもらうため、様々な形式でその活動を展開し続けています。彼の知識と経験から生まれる言葉は、多くの人に影響を与えています。

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