安熙正

安熙正の生涯と政治活動

安熙正（アン・ヒジョン、안희정）は、1964年10月28日に生まれた韓国の政治家で、元学生運動家でもあります。彼は2010年から2018年まで忠清南道知事を務めましたが、その後、性的暴行の告発により辞任しました。2019年には実刑判決を受け、韓国大法院の控訴棄却によって刑が確定したことで、その政治キャリアは大きな打撃を受けました。

幼少期と学生時代

安熙正は忠清南道論山郡で5人兄弟の三男として生まれました。彼の青春時代は激動の時代と重なり、特に学生運動に深く関与することとなります。彼は南大田高等学校に入学しましたが、地下新聞の配布事件に巻き込まれ、退学を余儀なくされました。その後、城南高等学校に転校しましたが、こちらも自主退学します。強い学生運動への意識から、高校卒業後は高麗大学に入学し、学生運動を活発に展開しました。

1986年には、彼が主導して高麗大学内のサークルを統合し、「高麗大学校愛国学生会」を作りました。1988年の反米青年会事件では逮捕され、十ヶ月間の収監生活を送りましたが、1994年には復学し、大学を卒業しました。

政治活動の始まり

大学卒業後、安熙正は1989年から統一民主党の国会議員・金徳龍の下で働き始めますが、政界に幻滅し、短い間、日雇い労働を経験します。1992年には再び政界に戻り、盧武鉉の選挙キャンペーンに参加します。彼は地方自治実務研究所の事務局長に就任し、2002年、盧武鉉候補の政務チーム長として活動し、彼の大統領選出を支援しました。

知事としての成果

2010年、安熙正は忠清南道知事に選出され、地方政府のモデルを構築することを目指しました。道庁の移転や新都市の建設、少子高齢化対策など多岐にわたる政策を展開し、4年連続で公約履行評価で最優秀とされました。2014年の再選でも、安熙正の政策は多くの支持を集めました。

次期大統領候補としての活動

彼の政治家としての人気は高まり、2017年の次期大統領選挙出馬を表明します。しかし、党内予備選挙で文在寅に敗北し、次期候補としての立場は揺らぎました。それでも、女性の権利に関する提唱を通じて政治的影響力を保持していました。

性的暴行事件と辞任

しかし、2018年3月に元秘書からの性的暴行の告発を受けて、安熙正は知事を辞任し、政治活動を無期限に停止することを発表します。事件は波紋を呼び、彼は一度も否認せず謝罪をすることで全ての政治的権力を失いました。8月には無罪判決が下されましたが、その後の控訴で判決が覆り、懲役刑となりました。

彼の母親の葬儀で、与党の政治家が哀悼の意を示したことが問題視され、批判の声が上がりました。安熙正の人生は、学生運動から政治家、そして堕落へと続く厳しい道のりでした。彼の事例は、政治力と人権、それに権力の行使についての深い考察を提供しています。

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