統一民主党

統一民主党：韓国保守政党の興亡と民主自由党への合流

1987年、韓国の政治シーンに新たな勢力として登場したのが統一民主党です。第六共和国初期を彩ったこの政党は、その後の韓国政治に大きな影響を与えました。本稿では、統一民主党の結成から民主自由党への合流、そしてその歴史的意義について詳細に解説します。

結成の背景：新韓民主党分裂と金泳三氏の台頭

統一民主党の誕生は、既存政党である新韓民主党の内紛に端を発します。1986年、当時の新韓民主党総裁、李敏雨氏は全斗煥大統領が提案した議院内閣制容認の姿勢を示しました。この方針転換を巡って党内は激しく対立、分裂の危機に瀕します。この混乱の中、金泳三氏を中心とする議員グループが新韓民主党を離党、1987年5月1日、統一民主党を結成しました。結成は驚くべきスピードで進められ、わずか数週間で結党準備委員会から結党大会へと至りました。

金泳三氏は党の総裁に就任。当初は金大中氏も参加していましたが、大統領候補の一本化交渉が決裂したことを契機に離党し、平和民主党を結成します。この分裂は、後の大統領選挙における野党勢力の弱体化につながる重要な出来事でした。

大統領選挙と総選挙：地域主義と多党制の壁

同年12月に行われた大統領選挙では、金泳三氏が統一民主党の大統領候補として立候補。しかし、野党票が金大中氏と分裂したため、与党の盧泰愚候補に大差で敗北しました。続く1988年の総選挙では、得票率では第2党となりましたが、平和民主党の躍進により、議席数では第3党に後退。この結果、統一民主党は地域主義に基づく多党制構造の難しさに直面することになります。

民主自由党への合流：「三党合同」とその後

苦境に陥った統一民主党は、1990年、民主正義党と新民主共和党との合流（三党合同）に応じ、民主自由党を結成しました。この合流は、金泳三氏の大統領当選への道を開く一方、「野合」との批判も招きました。実際、統一民主党の中道派と保守系の民正党・共和党の統合は、多くの政治的葛藤を生み出しました。この合流に反発し、党を離れた者もいました。後に大統領となる盧武鉉氏も、この三党合同に反対し、民主党を結成しました。

統一民主党の歴史的意義

統一民主党は、短命に終わった政党ではありましたが、韓国政治史において重要な役割を果たしました。その結成は、韓国における政党政治の流動性を示す一方、地域主義と多党制構造がもたらす課題を浮き彫りにしました。また、民主自由党への合流は、韓国の政治勢力再編における重要な転換点であり、金泳三氏の大統領就任という結果をもたらしました。統一民主党の軌跡は、韓国の民主化と政党政治の変遷を理解する上で欠かせない重要な要素となっています。

参考文献

* 韓国史編纂委員会 金容権編著『朝鮮韓国近現代史事典』日本評論社

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