安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄

安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄：炭鉱の町から生まれた芸術の広場

北海道美唄市に位置する安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄は、かつて炭鉱で栄えた街の歴史と、現代彫刻の調和が見事に融合した、ユニークな美術館です。イタリア語で「芸術広場」を意味する「アルテピアッツァ」の名の通り、広大な敷地には安田侃氏の力強い彫刻作品が点在し、訪れる人の心を豊かに満たします。

廃校の再生：新たな命を吹き込んだ芸術空間

この美術館の誕生は、廃校となった美唄市立栄小学校の跡地利用という、意外なところから始まりました。1970年代のエネルギー革命により炭鉱が閉鎖された美唄市では、多くの学校が閉鎖を余儀なくされました。栄小学校もその一つで、最盛期には1250名もの生徒が学んでいましたが、1981年に閉校。その後、長い間使われずに残された旧校舎に目をつけたのは、美唄市出身の彫刻家、安田侃氏でした。イタリアで活躍していた安田氏は、日本国内でのアトリエを探していました。旧栄小学校を訪れた彼は、そこで子どもたちが通う幼稚園を発見。この場所で「子どもたちが心を広げられる場所をつくりたい」という思いが湧き上がり、アルテピアッツァ美唄構想がスタートしたのです。

40点以上の彫刻と再生された校舎：多様な空間が織りなす芸術体験

70,000㎡を超える広大な敷地には、10トンを超える大作から繊細な小品まで、安田侃氏の彫刻作品40点以上が展示されています。旧校舎も、美術館の一部として見事に再生されました。1階は美唄市立栄幼稚園として、2階の教室はギャラリーとして、そして旧体育館はコンサートなどにも活用されるアートホールとして生まれ変わっています。それぞれの空間が、安田氏の作品と調和し、独特の雰囲気を醸し出しています。

20年以上の歴史：地域とともに歩む芸術の拠点

1992年のオープン以来、アルテピアッツァ美唄は地域住民や多くの来場者から愛される場所となってきました。旧体育館をアートスペースとして改修した1991年には、国土庁（当時）の『ふるさとC&Cモデル事業』にも指定されるなど、その取り組みは高く評価されています。その後も、市民ボランティアによる「アルテピアッツァ友の会」の発足、カフェや体験工房の開設など、地域との連携を深めながら、発展を続けてきました。2016年には、博物館法に基づく登録博物館（美術館）となり、「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄」として新たなスタートを切りました。

未来への展望：芸術と自然、そして人々が響き合う場所

アルテピアッツァ美唄は、単なる美術館にとどまりません。廃校という過去を活かし、地域住民の交流拠点、そして芸術と自然が融合した憩いの場として、人々の心を豊かにする役割を担っています。安田侃氏の彫刻作品が奏でる静寂と、広大な敷地がもたらす開放感。そこには、炭鉱の町・美唄市の歴史と、未来への希望が感じられます。これからも、多くの人々に感動と癒しを提供する場所として、その存在感を増していくことでしょう。

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