安田富男

安田 富男の生涯と騎手としての道

安田富男（やすだ とみお）は、1947年10月7日生まれ、千葉県船橋市出身の著名な騎手であり、その後、競馬評論家としても名を馳せた人物です。彼は特にオッズの低い騎乗馬で好成績を上げることで知られ、「穴男」や「泥棒ジョッキー」といった称号を得ました。そのキャリアの中で、JRAが運営する10の競馬場全てで重賞を勝利した初の騎手として、名実ともに競馬界の伝説となっています。

幼少期と競馬との出会い

安田は4人兄妹の中の次男として生まれました。父・保男は、職人として家庭を支えながら、競馬の馬券にのめり込んでいました。安田が幼少の頃、家族には競馬に関する環境がありましたが、彼自身は当初、競馬に関心を持っていませんでした。しかし、近所の厩務員に「騎手にならないか」と声をかけられたことが、彼の運命を大きく変えることになります。

騎手としてのキャリアの始まり

彼は函館厩舎での修行を始めたものの、早朝の厩舎での毎日の仕事に厭になり、すぐに辞めてしまいました。その後、母の信仰を通じて中山競馬場の加藤朝治郎厩舎で住み込みで働くことになりました。学校の勉強はおろそかにしながらも、彼の新しい生活は楽しいものでした。中学を卒業し、1963年に馬事公苑騎手養成所に入所しますが、そこでも多くの困難に直面しました。数学のテストでは1点も取れず、行事には寝てばかりの学生生活を送ります。

騎手デビューと初期の成功

1968年にようやく騎手免許を取得。デビュー戦では14勝を挙げ、2年目で26勝と活躍します。スタートが得意で、追い込みも上手いと評判だった安田ですが、デビュー当初は「逃げて勝ったらなぜ怒られるのか」と疑問を持つなど、たくさんの試行錯誤がありました。しかし、そこから彼の騎手としての成長が始まります。

繰り返される低迷と回復

ある時期、安田は成績が低迷し、騎乗依頼も激減しました。酒や女にのめり込むあまり、自己管理ができずにいたのです。しかし、家族や信仰のもと、厳しい経験を経て再び復活し、小倉大賞典での重賞初勝利をきっかけに成績が復調。彼は1976年の菊花賞での優勝を含む、数々の名勝負を展開します。

競馬界における業績

安田は1976年に菊花賞を勝利し、1980年代にも多くの重賞勝ちを収めました。また、1996年にはノーブルグラスに騎乗し、JRA全場重賞制覇を達成。その功績を称えられ、特別賞を受賞することになります。彼の騎手人生は挫折と成功の繰り返しで構成されており、忍耐強い姿勢は後の騎手たちにも影響を与えました。

引退後の活躍

2001年に引退を発表した安田は、その翌日に競馬予想会社「シンクタンク」に参加。競馬評論家としても活動するようになり、畜産業に関心を持つようになりました。その後、競走馬育成牧場「TOMY」を開設し、情熱をもって競馬界に関わっています。2014年には脳梗塞に見舞われましたが、見事に回復。

まとめ

安田富男は、数々の喜劇を舞台にした騎手生活を経て、現在も競馬界にその存在感を示しています。彼の業績や経験は、多くのファンや関係者にとっての道しるべとなっていることでしょう。

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