安田幹太

安田幹太について

安田幹太（やすだ みきた、1900年1月2日 - 1987年5月16日）は、日本の著名な法学者であり、政治家としても知られる存在です。九州国際大学の名誉学長を務め、法学博士として日本の法学界に大きな影響を与えました。夫は衆議院議員としても活動しました。彼の学問的な道のりや政治活動について詳しく見ていきましょう。

生い立ちと教育

大分県西国東郡草地村（現在の豊後高田市）で生まれた安田は、1917年に旧制大分県立宇佐中学校を卒業後、旧制第五高等学校文科甲類に進学しました。その後、1923年に東京帝国大学法学部英法科を卒業。三菱銀行に勤務後、東京地方裁判所の判事としてキャリアをスタートしました。

その後、彼は1927年に文部省の命令で欧米に留学し、特にドイツで民法学の研究に取り組みました。この留学の後、京城帝国大学で教授職を得ることになりました。そして帰国後は福岡で弁護士として独立しました。

学問の業績

1942年、東京帝国大学から法学博士号を取得し、その際の学位論文は「賃借権の本質」に関するものでした。彼の研究が専門とする民法分野では、権利の本質についての革新的な視点を持っていました。安田は、権利と救済の関係が異なることから、権利の二元論を提唱しました。この見解は、従来の意思説や利益説に対抗するもので、物権や賃借権、相続回復請求権といったテーマにおいて、具体的な理論体系を構築しました。

特に八幡大学において、1953年には一般市民への法律相談を目的とした法律相談部を設立し、中核として活動しました。また、安田は新制八幡大学の再建に尽力し、学内の危機や財政難を乗り越えるために努力しました。彼のリーダーシップの下、八幡大学は重要な教育機関としての地位を確立しました。

政治活動

安田は1947年に日本社会党右派の一員として衆議院議員に選出されました。彼は民法第733条の違憲性を問題提起し、その後も憲法に関する議論を続けました。彼のこの取り組みは、現在においても注目されており、法未確定の問題についての重要な問いを投げかけています。

活動と関係者

旧制第五高等学校時代には、細川隆元、末延三次、西村熊雄といった同級生がいたことから、彼の学問的な人脈の広さが伺えます。また、京城帝国大学教授時代には多くの学者たちと交流し、共同研究や学問的議論を重ねました。

代表的な著書と論文

安田の著書には、『借地借家法原理』（1963年）、『訪韓記』（1964年）、『民法雑考』（1970年）、『賃借権の本質』（1973年）などがあり、彼の法学に対する貢献を示しています。特に『賃借権の本質』は、商業的な賃借権に関する議論を科学的に考察した重要な作品です。

論文も多く発表しており、国立国会図書館には彼の業績が収められています。これらの研究や著作は、今日の法学研究においても重要な参考資料として位置づけられています。

最後に

1984年には八幡大学理事会顧問に就任し、1983年には理事長を退任しましたが、その後も法学界への貢献を続けました。安田幹太は1987年に亡くなるまで、教育と法学の発展に多大な影響を与えた偉大な学者でした。彼の人生と業績は、今も多くの人々に影響を与え続けています。

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