安眠島

安眠島（アンミョンド）

大韓民国忠清南道に属し、黄海に面した島である安眠島は、泰安半島の南方に位置しています。面積は約87平方キロメートルであり、韓国の島としては済州島などに次ぐ第6位の大きさを有しています。元来は泰安半島の一部でしたが、人為的な改変によって本土から切り離された歴史を持ちます。

地理

安眠島は泰安半島の南端から続き、南北に細長く伸びる形状をしています。島の東側には広大な浅水湾が広がっており、この湾を挟んだ対岸には、北から順に忠清南道の瑞山市、洪城郡、そして保寧市といった行政区が位置しています。

行政

行政区分としては、安眠島は忠清南道泰安郡の南部を構成しています。島の面積の大部分は安眠邑（안면읍）に属しており、島の最南端部のみが古南面（고남면）の管轄下に置かれています。

歴史

安眠島が本土から分断された背景には、運河の存在があります。遡ること高麗時代には、租税として徴収された穀物を船舶で効率的に輸送するため、細長い泰安半島を東西に横断する水路を開削しようとする試みが行われましたが、これは最終的に完成に至りませんでした。その後、朝鮮王朝時代の17世紀に入り、この運河の開削が成功裏に完了した結果、半島の南部が本土から切り離され、現在の安眠島が誕生しました。

近現代においては、安眠島は国の政策に対する住民運動の中心地となりました。1990年11月、韓国政府は島民との十分な対話を経ずに、安眠島に核廃棄物処分場を建設する計画を発表しました。これに対し、島民は強く反発し、行政計画に対する異議を唱える一体となった反対運動が展開されました。この大規模な運動は国内外の注目を集め、その粘り強い活動の結果、1993年の春には建設計画が完全に白紙撤回されるという成果を勝ち取りました。特に、計画撤回が正式に決定された後の1993年3月25日には、島民による勝利集会が開催され、この歴史的な出来事を記念しました。この一件は、住民が一体となって不当な国家政策に立ち向かい、その決定を覆した事例として広く知られています。

交通

安眠島と韓国本土を結ぶ主要な陸路としては、安眠橋が存在します。この橋は1970年に建設され、全長は208.5メートルに及び、島の交通において重要な役割を担っています。島内を南北に縦貫する主要な幹線道路は国道77号線であり、島内の移動を支えています。今後の交通計画としては、島の南側地域を対岸の保寧市と結ぶ新たな国道の建設が予定されており、島と本土間のアクセスがさらに向上することが期待されています。

安眠島は、その独特の地理的特徴、歴史的な背景、そして住民の強力なコミュニティ活動といった多角的な側面を持つ島として、韓国西海岸地域において重要な存在感を放っています。

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