安祥譜代

安祥譜代（あんじょうふだい）とは

安祥譜代とは、徳川家の譜代家臣の中でも特に古くから仕えた家臣団を指す言葉です。

定義

『徳川幕府家譜』によると、松平信光から親忠・長親・信忠の4代にわたり、安祥城に仕えた家臣を安祥譜代と呼びます。この定義は、徳川家の初期における家臣団の構成を理解する上で重要な基準となります。

他の譜代との区別

安祥譜代は、その後の徳川家の発展に伴い、山中・岡崎譜代、駿河譜代といった他の譜代家臣団と区別されます。

山中・岡崎譜代：松平清康が山中・岡崎を攻略した後に家臣となった人々を指します。
駿河譜代：『柳営秘鑑』に記載された、安祥譜代や岡崎譜代とは異なる家臣団を指します。


『柳営秘鑑』では、安祥譜代として、酒井、大久保、本多、阿部、石川、青山、植村の7家が列挙されています。これらの家は、徳川家にとって重要な役割を果たし、幕府を支える重臣として活躍しました。

史料による記述の差異

安祥譜代の定義については、複数の史料で異なる記述が見られます。

『岡崎市史』：『武徳大成記』を引用し、岩津譜代、安城譜代、岡崎譜代という区分を提示しています。しかし、この区分は『三河物語』や『柳営秘鑑』、『徳川幕府家譜』の記述とは異なり、史料的な根拠が不明確です。
岩津譜第：松平親氏、泰親、信光の3代に仕えた者
安城譜第：親忠、長親に仕えた者
岡崎譜第：清康に仕えた者
『松平町誌』：『三河物語』に基づき、安城譜代、山中譜代、岡崎譜代を挙げる一方、松平郷譜代（岩津譜代）を設けて三河四譜代とする説にも言及しています。しかし、この松平郷譜代という呼び方は、史書には見られないものです。

三河譜代という概念

岡崎公園内にある「三河武士のやかた家康館」のウェブサイトでは、『三河物語』出典の安城譜代、山中譜代、岡崎譜代をまとめて三河譜代と呼ぶと提唱していますが、『三河物語』にはそうした記述はありません。

また、三河出身の牧野氏や奥平氏が駿河譜代に区分されていること、遠州出身の井伊氏が岡崎譜代に分類されていることからも、三河出身の徳川家臣が全て安祥譜代または岡崎譜代に区分されるわけではないことがわかります。

まとめ

安祥譜代は、徳川家の初期を支えた重要な家臣団であり、その定義は史料によって異なる点があるものの、徳川家の歴史を理解する上で欠かせない存在です。安祥譜代に連なる家々は、その後の江戸幕府において重要な役割を果たし、徳川家の発展に大きく貢献しました。

関連項目

三河武士（三河衆）
譜代
譜代大名

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