安福寺 (柏原市)

安福寺（あんぷくじ）の詳細

安福寺は、大阪府柏原市玉手町に位置する浄土宗の仏教寺院です。山号は玉手山で、玉手山丘陵の中心部にあり、特に玉手山公園の北側に広がる谷間に建立されています。歴史的には、奈良時代に行基により創建されたとされていますが、時代が進むにつれて荒廃し、小さな堂宇が残るだけの状態となってしまいました。

中世の寛文年間（1661年 - 1672年）のこと、浄土宗の僧侶である珂億上人がこの場所に足を運び、安福寺の再建に尽力しました。特に徳川光友が彼の学問や徳に深く感銘を受け、安福寺に土地を寄付するなどの支援を行った結果、寺院はその後も発展を遂げました。安福寺が拥有する山水蒔絵硯箱、牡丹蒔絵硯箱、そして菩提樹蒔絵香筥は、国の重要文化財としても認定されています。また、境内には明治時代に出土した割竹形石棺蓋が置かれ、かつて手水鉢として使用されていました。この石棺も重要文化財に指定されており、注意を引く存在となっています。

安福寺に入ると、最初の小門をくぐって参道を歩くことになります。その両側には安福寺横穴群と呼ばれる場所が広がっています。これらは谷間の凝灰岩から掘り出されたもので、南北に合わせて32基が確認されています。横穴群は古代人の住居として使用されていたことがあるとされ、ここから出土した石棺や陶器、さらには騎馬人物像の壁画が描かれたものも発見されており、これが古墳時代後期の横穴墓であることがわかっています。大阪府の史跡にも指定されています。

参道を進むと、次の門をくぐって境内に入りますが、すぐ左側には広大な庫裡が広がります。さらにその南側には本堂が位置しています。境内の西側には玉手山公園があり、実はこの公園も安福寺が所有しています。

文化財について

安福寺では、多くの重要文化財を所蔵しています。これには、徳川光友から寄贈された工芸品である山水蒔絵硯箱、菩提樹蒔絵香筥、牡丹蒔絵硯箱が含まれます。これらは1899年に国指定の重要文化財として認定されました。

さらに、割竹形石棺蓋は1990年に重要文化財に指定され、大阪府柏原市の勝負山古墳から出土した考古資料とされています。また、安福寺横穴群は1973年に大阪府の指定文化財として認定され、その後1984年に追加指定が行われました。

柏原市内にある安福寺へのアクセスは便利で、近鉄大阪線の河内国分駅からは西へ徒歩約20分で、近鉄南大阪線の道明寺駅からは東へ徒歩約15分の距離です。安福寺はその歴史と文化財の宝庫として、多くの参拝者が訪れる場所となっています。

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